第16章 その頃・・・美少年達は
黄瀬「酷っ!何なんすか~。」
理桜「最後まで、ちゃんと聞きなよ。
黄瀬涼太には、感謝してると言っただろ?
3年前に、優希を笑顔にしてくれたの、
キミなんだ。キミに出会ったあの日から、優希は心からの笑顔を見せるようになったんだ。」
黄瀬「え?それまでは、無理に笑ってたって事?」
理桜「あぁ。俺は、涙が枯れるんじゃないかっていうくらい、祖父母や優希にすがりついて泣いたよ。
だけど、優希は、泣かなかった。正確には、俺達、家族の前ではだけどね。
いつも、笑顔で笑って『理桜には、私がいるでしょ。おじぃちゃんや、おばあちゃんだっている。大丈夫だよ。』って、慰めてくれてた。だから、まさか優希が夜中に独りで泣いてたなんて、思いもしなかった。
俺たち双子なのに、気づいてやれなかった。優希は俺と違って強い。なんて、勝手に思いこんでた。悲しくないわけ、ないのにな。キミも、バカだと思うだろ?」
黄瀬「そんな事ない。
優希っちは、優しいから。
きっと、理桜くん達に、心配かけたくなかったんだと思う。だから、自分の悲しい気持ちに蓋をして、笑顔でいたんだ。
優希っちは、感情を隠すの上手すぎる
から。俺が、理桜くんでも、きっと気づいて
あげれなかったと思うっス。」
理桜「Thank you 涼太。」
黄瀬「りょ、涼太って!やっと、名前呼んでくれたっスよ~。理桜っちぃ~!!」
俺に、飛びついてこようとする
涼太を全力でよけてやる。
理桜「その、あだ名はなんだよ?
理桜っちて、呼ぶな。それに、俺はまだ
涼太のこと認めたわけでは」
黄瀬「そんなの分かってる!
でも、いつか理桜っちに、言わせてみせ
るから。
優希の相手は、涼太しか認めない。ってね。」
まっすぐな真剣な目。
優希のこと、本気なんだと感じる。
こいつとは、長い付き合いになりそうな
予感がする。
ちょっと、弟としては複雑な心境。
だけど、少しくらいは涼太のこと
認めてやっても、いい。
だって。今。
涼太の隣りにいる優希が、
本当に楽しそうに笑っているから。