第19章 離したくない
涼くんの表情を見ることは出来ないけれど。
声色で、真剣なんだってわかる。
また、それ以上に、物語っているものがあるから。
自分の体に伝わってくる彼の心拍。
物凄くドキドキしている。
抱きしめられている腕の中は熱い。
どうしよう!?
この状況、ドキドキしすぎて、私、なにも考えられないよ~!!
“てんぱってる場合じゃないんだよね、涼くんに何か言わなくちゃ!!”
だけど、私が何か言うより、早く、涼くんの方が話を切り出した。
黄瀬「・・・ごめん。俺、優希っちのこと困らしてる、っスよね。待つって言ったのに、結局返事、急かしてさ。」
そして、苦笑しながら、私を抱きしめていた腕をといてくれた。
『わ、私こそ・・・ごめんね。あ、あの、涼くん。お誕生日の日って、予定あるよね?』
黄瀬「!もしかして、デートのお誘いっスか!?」
『はい。お誕生日のお祝い出来たらなって、思って。』
(『それに、告白の返事、しなくちゃ。いつまでも、待たせてはいけないよね。』)
黄瀬「やった~!!」
『プレゼントのリクエストある?』
黄瀬「う~ん。あ!優希っちの手料理食べたいっス!」
『うん。りょ~かい⭐苦手なものは?』
黄瀬「うなぎは、ダメっス。」
「そうなんだぁ。食感とか苦手なの?」
黄瀬「昔、骨が刺さったことがあって・・・。」
『トラウマになっちゃった?』
黄瀬「そうっス。あれは、痛かったス!」
『だよね。想像しただけでも、痛いよ!じゃあ、好きなものは?食べたいリクエストでもいいよ?』
黄瀬「オニオングラタンスープが、好きっス。作れそう?」
『任せといて!料理は、好きでよく作るから。
あと、お誕生日会なんだけど、私の家に招待してもいい?』
黄瀬「優希っちが良いなら。俺的には、何の問題もないっス!」
『良かった。じゃあ、決まりだね!』
タイミングよく、今のダンス曲が終わった。
黄瀨「楽しみにしてるっスよ!今は、舞踏会を楽しもう。」