第10章 舞踏会のパートナー
私は呆然としていた。
まさか、涼くんの方から誘って貰えるとか
夢にも思ってなかったから。
『はい喜んで。お受けします。』
黄瀬「良かったス。優希っちが誰も選んでなくて。マジ緊張したぁ~。
けど、勇気だして良かったっスよ!」
『私もね、実は涼くんにパートナーを申し込もうとしてたの。けど、涼くん人気者だから半分位は諦めてた。』
黄瀬「そうだったんスか!じゃあ、先に
言えて良かったス。俺、ダンスはあんまり
自信ないんだ。優希っちは、踊れるの?」
『うん。少しは踊れるよ。社交ダンス。』
黄瀬「俺に、教えて貰えないっスか?
当日までに、少しでも踊れるようになりたいっス!」
『うん。私でよければ、付き合うよ~。
どこで、練習する?』
黄瀬「明日から、予定の無い日に、放課後、
公園で練習とかどうっスか?」
『私は、それで大丈夫だよ。練習頑張ろうね~。舞踏会が素敵な思い出になるとイイねっ♪』
黄瀬「はいっス!」
黄瀬「昨日は、何してたんスか~?」
『昨日は、さつきちゃんと遊んでた。
ファミレスで話したり。服を、一緒に
選んだりしたんだ。あ、コスプレプリクラって知ってる?』
『なんか、女の子の間で、流行ってるらしい
っスね。もしかして、優希っち!?
撮ったんスかぁ~?』
涼くんが、目をキラキラ輝かして、
こっちをみている。
なんか、ワンちゃんがご主人様に遊んで欲しくて、期待の眼差しで、尻尾ふりながら待ってるような。
涼くんに犬耳なんか可愛いかも。
大きくてフサフサなしっぽもつけて。
想像したら、涼くんが大型犬のゴールデンレトリバーに見えてくる。
黄瀬「ねぇ。優希っち?その、プリクラ見たいっス!」
『うん。ちょっと待ってね。』
どんな反応が返ってくるのか。
私は、手帳に挟んでいたプリクラを涼くんに
渡した。
『これだよ。恥ずかしいから、じっと見ちゃ
駄目だからね?』
黄瀬「こ、これは!ミニスカポリス!
か、可愛っス。」
『反応うすくない?』
黄瀬「そんな事ないっスよ。衝撃が強すぎて、逆にコメントできないってゆーか。」
素直に感想なんて言えないっスよ。
だって、今、俺の頭で考えてることは優希っちに引かれるから確実に。
だから彼女には秘密にしておこう。
こんな色っぽい警官になら逮捕されてみたいだなんて言えない。