知らない世界へ飛ばされたらゴンという少年に助けられた訳だが。
第8章 甘えんぼになってみよう!
愛莉を再び見ると、いつの間にかクラピカに抱き付いていた。
『ねークラピカー…なでなでしてギュッてして?』
愛莉が上目遣いで涙目になりながらクラピカを見つめる。
『こ…こうか…?』
クラピカは照れながらもそっと愛莉の頭を撫でる。
『ギューもしてよ~』
『……な…っ』
クラピカも愛莉と同じくらい顔を真っ赤にして、
そろりと愛莉の背中に手を回す。
ゴンとキルアとレオリオもごくりと唾を飲み込み、見守っている。
『(だ…駄目だ…恥ずかしすぎて死ぬ…)』
クラピカがギュッと目を瞑る。
それと同時に愛莉の身体の力がスッと抜けて、倒れ込む。
『愛莉!?』
『…』
愛莉の顔を覗き込むと、
すぅすぅと寝息を立てて眠っていた。
その後は、愛莉をまた部屋のベッドに寝かせるのだった。
『やれやれだぜ…』
『普段の愛莉からは想像出来ないくらい大胆だったな…』
『俺なんか殺されるかと思ったぜ…』
『でも愛莉にいっぱいギュッてされてちょっと羨ましかったな~…』
『なんだよお前ら!何だかんだで良い思いしてんじゃねぇか!』
『ただ…愛莉が酔ってる時に言っていた事は
全部本音だったのかもしれないな』
『そうだな…ここ数日はずっと寝かせてばっかりだったからな…』
『そうと決まれば明日には出発しようよ!愛莉の為にも!』
こうして愛莉の知らない間に、
出発は少しだけ早められたのだった。
続く