知らない世界へ飛ばされたらゴンという少年に助けられた訳だが。
第8章 甘えんぼになってみよう!
『(愛莉がなんかおかしい…
つか、そんなにくっつかれたらいろいろとヤバい…)』
『も~!みんなが置いてくから暇だったんだよ~!』
愛莉がパッとキルアを離す。
なんだかフラフラしていて危なっかしいなと
思っていたら案の定、ふらついて転びそうになる。
『あぶねっ!』
とっさにキルアが手を伸ばすと、
腕を掴まれて一緒にこけてしまった。
『(…なんだこの状況…)』
キルアが愛莉を押し倒したような
状況になってしまった。
愛莉はえへへと笑いながら頬を赤らめて、
とろんとした目つきでキルアを見る。
『(や…やめろ…そんな目で俺を見るなよ…
このままじゃ、俺…)』
キルアがもうどうにでもなってしまえ、
と半分ヤケクソになり愛莉に顔を近付けた時だった。
『もう~キルア~!』
『ぎゃっ!!』
背中に腕を回されてギュッと抱き締められる。
足もしっかりキルアの背中に回っていて、
抱き枕のような状態だった。
『くっ…くるし…』
愛莉の胸に顔面をうずめながら
窒息死しそうになるキルア。
『キルア可愛いよキルア~!』
『(し…死ぬ…)』
『よ~しよしよし♪』
愛莉がキルアの頭をわしゃわしゃと撫でまくる。
その時、タイミング良く誰かが部屋に入ってきた。
『愛莉…とキルア!?』
『(ゴン…!)』
『あは…ゴンおかえり~』
愛莉がキルアを解放しゴンの元へ駆け寄る。
『もう…遅いじゃん!』
キルアの時の様に、ゴンにもベッタリ抱き付く愛莉。
『ど、どうしたの愛莉!?
顔真っ赤だし、なんか変だよ!?』
『ああ、こいつさっきから様子がおかしいんだよ…』
『私、なんもおかしくないもん!』
愛莉が頬をぷうっと膨らませて拗ねる。
『あ…なんかそれ可愛いかも…じゃなくて!
やっぱりもう少し寝てた方がいいよ!』
『や…やだよ!』
愛莉はフラフラしながらも素早く部屋を脱出する。
『あっ!!待てっ!!』
キルアが追いかけようとしたが、
間一髪でドアを閉められてぶつかる。
『いっ…て!!』
『だ、大丈夫!?キルア!!』
愛莉は壁などにぶつかりながらも、
廊下を裸足で駆け抜けた。
『うわっ!』