第9章 雨唄
傘の中は、静かだった。
どうせ向こうもなんとも思っていないんだろうし、私も別に期待をしているわけではないが、初めての相合傘がこんなものなのかと少し残念に思っていた。
少しではあるが会話はあり、初めてしる事も何点かあった。
でも、学校では絶対に知りえないと思ったことは、さりげないあいつの優しさだ。
さりげなく道路側を歩いたり、さりげなく傘をこちら側に傾けてくれたり。
こういうことができる男なのだと関心をした。
そして、最後のあれは本当に不意打ちだった。
結局、家の前まで送ってもらい去り際に、
「俺、こんなに女子と話したの始めてかも。お前すっごい話しやすいんだな」
なんて、満遍の笑みで言われて
笑顔で去っていった。