第10章 a LOVELY TONE
今まで気持ちを伝えるために、いろいろな言葉を選んで言ってきたと思う。
国語の成績はわりと悪くない自信があった。
それでも、一番肝心な言葉を伝えたい今、自分のボキャブラリーが追いついてくれない。
俺の拙い言葉では、伝わらない気がして不安になる。
ドラマみたいなくさい台詞を吐けるほど勇気もないが、一生に一度の言葉だから特別にしたいなんて思ってしまう。そんな都合のいい気の利いた言葉を思いつかず、一晩中頭を悩ませている。
一生に一度。
明日の日のためだけの言葉。
君のためだけに用意した言葉。
精一杯の俺の気持ちを込めた言葉。
そんな言葉を明日、君に届ける。
もう少し、悩むから
楽しみに待っててな。
fin.