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プロポーズされてみませんか? 【短編集】

第2章 ジューンブライド 【黄瀬涼太】


「ちょっとだけね」
春乃がそう言って笑う。
「ごめん。キスしていい?」
俺がそう言うと、春乃はそっと笑って
「いいよ」
と言った。
目をつむって俺がキスするのを待つ春乃の唇に俺の唇を重ねる。
一週間ぶりのキスは甘くて、初めて春乃とキスした時みたいな感覚になる。

「ねえ、涼太」
「うん?」
キスした後、ソファで膝枕をしてもらっている。
「今日、何の日か覚えてる?」
「何だっけ?」
「6月18日。涼太の誕生日だよ?」
春乃の言葉にそういえばそうだと思う。
「青峰くんと会ってたのは、プレゼント何がいいか相談するため、後、今日振る舞う料理の味見をお願いしてたの」
「そうだったんスか。俺、ちゃんと話も聞かずに怒っちゃってごめんね」
「ううん。私も青峰くんに会うこと伝えとけば良かったね」
そう言って笑う春乃。
「じゃこれから涼太の誕生日パーティーしようか!」
「そうだね!」


「あー、美味かったッス!やっぱ春乃の料理は最高ッスね!」
「本当?喜んでもらえてよかった!あ、プレゼント!ちょっと待っててね!」
そう言ってパタパタとプレゼントを取りに行く後ろ姿を眺めて、ふと目に入った雑誌を手に取る。所々ふせんが貼られているページがある。そのページを順に見ていく。スイーツ特集、これからの季節にオススメのデートスポット。そして、ジューンブライド特集。そのページには沢山の書き込みがしてあった。教会の写真が載っているところには「こんなところで結婚式してみたい!」。いくつかあるドレスの写真には「このドレス可愛い!」。タキシードの写真には「涼太がこれ着たらカッコいいだろうなぁ。でも涼太と結婚できるなら何でもいいや」。このページいっぱいの書き込みを見て自分が愛されていることを改めて感じる。俺は、春乃に愛をちゃんとあげることができただろうか。そう考えていると春乃が戻ってきた。
「ごめん、ちょっと探すのに時間がかかっちゃって」
そう言って「はい!」とプレゼントを渡してくれる。
「開けてもいい?」
「うん!いいよ!」
綺麗に包んである包装紙を取り、箱を開ける。
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