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プロポーズされてみませんか? 【短編集】

第2章 ジューンブライド 【黄瀬涼太】


「で、話の続きは?」
俺は青峰っちをソファに座らせ、自分はデスクの椅子を持ってきてそこに座った。
「春乃が泣きながら俺のところに来た」
その事実にまたイラっとする。
「そうなんスか」
「あいつ言ってたぞ。もう会いたくないって言われた。嫌われたかもって」
「……」
黙りを決め込む俺に青峰っちの眉間にますますシワがよる。
「おい、なんとか言えよ」
「……だろ」
「あ”?」
「あんたに言われたくない!!そもそもあんたが春乃と一緒にいるのが悪い………っ!?」
俺が言い終わる前に青峰っちの拳がとんできた。
「イッテェ…!なにすんだよ!!!」
青峰っちに殴られ、床に倒れる。
「うるせぇ!!ふざけた事言ってんじゃねぇよ!!お前、あいつと何年付き合ってんだ!!あいつの何を見てんだよ!!あいつがお前に文句を言った事があったかよ!!どんなに仕事が忙しくても、会えなくても、あいつが不満を言った事があったかよ!!あんな一途なやつが、何もなしに他の男と一緒に居るわけないだろうが!!その貧相な頭で考えてみろよ!!」
そう言って、青峰っちはドタドタと家を出て行った。
俺はフラフラと立ち上がり、ソファに座った。青峰っちの言う通りだ。
春乃は俺に不満を言った事が一度もない。仕事が忙しくて会えなくても、デート中に急な仕事が入っても笑顔で「行ってらっしゃい」て言ってくれた。あんないい子が他の男に揺らぐはずないのに。俺は何を不安がってたんだ。
俺は立ち上がり、春乃に会うために家を飛び出した。
居場所を聞くために、走りながら春乃に電話をかける。
『はい………』
電話に出た春乃の声は元気が無い。
「もしもし!俺!今から会いたいんだけど何処にいる?」
『家…だけど』
「今からそっち行くから!!」
そう言って電話を切り、走るスピードを上げる。
春乃の家の前に立ち、息を整える。そして、インターホンを鳴らす。
「はい」
ドアが開いた瞬間、玄関に入って春乃を力いっぱい抱きしめる。
「春乃!ごめん!!俺、春乃に酷い事言って傷つけた!!本当ごめん…!」
「涼太!!嫌われたかと思った…!」
そう言って俺に抱きつく春乃。
「春乃、顔よく見せて」
俺は春乃の顔を上に向かせる。
「ちょっと痩せた?」
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