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プロポーズされてみませんか? 【短編集】

第17章 キライ、でも、スキ 【黄瀬涼太】



「ごめんなさい。意地になってあなたをたくさん傷つけてしまって本当にごめんなさい。でもね、私の気持ちも知って?いつもならあんな事で嫉妬したりしないんだけど、でも不安だったの。輝くあなたの隣にいていいのか自信がなかったの。だからあんな事があって不安が限界に達してあなたを困らせてしまった。でももう大丈夫。私堂々とあなたの隣歩いていける。誰がなんて言おうと、私はあなた……涼太の隣を歩いてやるから!涼太、愛してる」

俺の名前が出た途端会場が一気に騒がしくなる。そして「愛してる」と春乃が言った途端にその騒がしさがピークになる。
そして番組はエンディング曲と共に終わった。

「春乃…!」

俺はいてもたってもいられず、家を飛び出して番組会場へと車を飛ばした。

そして会場の裏出口から入り、春乃の控え室を探してノックをした。

「どうぞ」

と短い返事が返ってきたので扉を開けて控え室の中に入った。

「涼太…」

「歌、感動したッス」

そういいながら椅子に座る春乃を抱きしめた。

「春乃の気持ちわかってあげられなくてごめん。不安にさせてごめん」

「もういいよ。それより勝手に皆の前で付き合ってることバラしてごめんね」

「堂々としてやればいいんスよ」

「そうだね」

俺の言葉に喜殺がくすりと笑ったのが肩越しにわかる。

そしてもっと強く抱きしめる。

「一生大事にするッス」

「…なんかプロポーズみたいだね」

「プロポーズッスよ」

喜殺の体を自分から離し、今にも泣きそうな喜殺の頬をそっと撫でる。

「一生大事にするから、俺と結婚してください」

「もちろんよ」

耐えきれなくなった涙が喜殺の頬を濡らす。
そっと唇にキスをして涙を拭く。


あれから数年。
あの後世間の熱気は冷めず、喜殺の衝撃的な告白により俺たちは世間からの公認カップルとなり、無事に挙式することもできた。そして今、喜殺のお腹には新しい命が宿っている。
あの日控え室で言った言葉通り、喜殺も新しい家族も俺が大事にしていこうと思う。

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