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プロポーズされてみませんか? 【短編集】

第8章 運命 【澤村大地】



次の日、俺はいつも通り大学へ行く。春乃とは大学は一緒だけど、学部が違うからあまり大学内で会うことはない。
「あ、おはよう大地!」
「スガ、おはよう」
ズガとは大学も同じ、学部も同じ。
「昨日のデートは楽しかった?」
「ああ、めちゃくちゃ」
「そっか。良かったな」
スガはいつものように歯を見せて笑う。
「あ!澤村くん!おはよう!」
「おはよう」
サークルが同じ子に挨拶をされ、俺も挨拶をする。
「ね、澤村くん。このワンピース可愛くない?」
その子が着ているワンピースは、昨日春乃が買ったワンピースの色違いだ。
「可愛いよ」
「本当!?わぁ〜!嬉しい!」
そう言って、俺の腕に抱きつく。
「大地!」
スガが俺の腕を引っ張っる。
「何、スガ……」
スガが見ている方向を見ると今にも泣きそうな顔をした春乃がいた。
俺と目が会うと、反対方向に走っていく。
「春乃!!」
俺の腕に抱きついている子を離して、春乃の後を追いかける。


「春乃!待って!」
中庭でやっと春乃を捕まえた。
「春乃…」
「大地は、あの子の方が可愛いと思うの?」
俺に背を向けたまま春乃は話す。
「それは違う!」
「だったら何で、あんな風に褒めるの?私、浮かれちゃってバカみたい」
春乃は昨日買ったワンピースの裾を握る。
「可愛いは私だけに言ってくれると思ってたけど、それは思い違いだったんだね」
春乃の肩が震えてる。
「春乃…」
「もういい」
そう言って歩き出した春乃の手を取って俺は引っ張る。
「ついてこい」


春乃を連れてきた場所は観覧車。無理矢理引っ張って乗った。
「春乃」
「何も聞きたくない」
そう言って耳を抑える。そんな春乃の頬を両手で包み、キスをする。
「俺は、お前のこと本当に可愛いと思ってる。どんな女の子より。そのワンピースだって春乃が1番似合ってる」
春乃は俺の服の裾をつかんだ。
「もっと言って」
「可愛い、可愛いよ春乃」
言いながらキスをする。さっきより長く。
「春乃、結婚しよう。もう不安にならないように。俺と結婚しよう」
「…大地……」
春乃がそっと俺に抱きつく。
「うん」
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