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プロポーズされてみませんか? 【短編集】

第8章 運命 【澤村大地】


「いや!違う!凄く似合ってて言葉が出なかったんだ」
「本当?似合ってる?」
「ああ、とっても」
「よし!これ買う!!」
そう言ってまたシャッとカーテンを閉めて試着室に戻る。
試着室から出るとレジに一直線。ワンピース以外は買わないのか。

「大地は行きたいところないの?」
服屋を後にして、俺たちは再び街並みを歩く。
「特に無い……かな」
「え〜。何でないの〜」
「そう言われてもなぁ。う〜ん………。行きたい、ところ……。あ、一つだけある」
「どこ!?」
「観覧車」
「観覧車?でもちょっと遠くない?」
「今からならまだ大丈夫だと思う」
「じゃあ行こう!」
春乃と手を繋ぎ歩く。
俺が観覧車に行きたいと思ったのはあのヒゲちょこに話を聞いたときだ。ヒゲちょこが奥さんにプロポーズした場所が今行こうとしている観覧車だとか言ってたな。なんでも、観覧車が頂点に来た時に想いをはせる相手に愛を告げると永遠に結ばれるとかなんとか。だからちょっと行ってみたい。告白はしないけど。

「わあ!すごい!高いね、大地!」
「あんまりはしゃぐな。ゴンドラ揺れるぞ」
「私そういうの平気。むしろ揺れる方が面白い」
「お前らしいけど、今日はせっかくなんだから景色楽しもう? こっちおいで春乃」
春乃は俺の横にちょこんと座り、景色を見る。
「綺麗だね。普段あんまり見る景色じゃないから」
「そうだな」
「また来ようね、大地」
「ああ」
それからゆっくりと景色を楽しみ、観覧車から降りた。

「今日はありがとうね、大地。久しぶりにデート出来て嬉しかった」
観覧車を降りた後、帰ろうかってなって春乃を家まで送ってきた。
「またデートしような。それじゃおやすみ、春乃」
「おやすみ」
春乃が玄関に入った事を確認し、家へと足を向ける。
今日は久しぶりに春乃に会えて嬉しかったな。あいつの笑顔を見たら元気が出る。あいつの笑顔は俺にとって魔法見たいなもんだ。あの笑顔を守れるようにしないと。あいつだけは泣かせたくない。
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