第31章 なくしたバラ
「げほっ・・・」
少ししか歩いていないのだが、次々と来る痛みにイヴは耐えれずにいた。
ふらふらとする足元になんとか力を入れながら奥で倒れている赤司を見つけ、身体を揺さぶっていた
「征君・・・!」
赤「ん・・・」
イヴの声に気付いたのか、赤司は目を開け座っている少女を見つけると笑みを浮かべ頭を撫でていた。
赤「イヴ・・・大丈夫だったか?」
首を横に振った赤司が目にしたものは花びらが一枚しかないイヴのバラ。
苦しそうにしながら座りこんでいる彼女を見て、尋常じゃない痛み。
先ほど自分が味わった痛みを彼女も受けているのだとわかった
赤「歩くのきついだろ?」
赤司はそれだけ言うと、彼女をお姫様抱っこして立ちあがったのだ。
目を見張る彼女に微笑むと、どこかにカギが落ちているはずだとキョロキョロとあたりを見回した。
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