第2章 嵐の夜の訪問者
「ぅっ…はぁ…はぁ…」
暗闇の中、手探りで引き出しを引っ掻き回して薬を探す。
苦しい…。
昨日遅くまで薬の研究と精製をしたせいで体力が落ちたせいだろう。
発作が起きたのだ。
呼吸が上手くできず体中が痛い。
薬を口に放り込み、水で流し込む。
暫くすると発作は落ち着きだいぶ楽になってきた。
いつまでこんな暮らしが続くのだろうか?いや、もうすぐ終りがくるかもしれない。
死と言う終わりが。
なぜならここ数年で薬の服用が増えたからだ。
最初の頃は1日一回の服用が今では数回までに増えてしまった。
未だに治療法のないこの病は、どこの病院へ行っても無駄どころか、自殺行為に等しい。
メイサが生きられるのは自分が作り出す薬だけが頼りなのだ。その薬も効果の限界が来ているらしい。
(早く新しい薬を作らなきゃ…)
果たしてこの病を治す薬を作ることは出来るのだろうか?
(せめて、オペオペの実だったらよかったのに…)
奇跡的な手術で未知の病を治すこともできるという悪魔の実。
もしかしたら自分の病も治せるかもしれない。
だが生憎メイサは既に能力者であり、オペオペの実があったとしても食べることは出来ない。
(オペオペの実の能力者が居れば…私の能力と協力すればすぐに治せるかもしれない)
だけどそれは夢のまた夢の話。
都合よくそんな能力者が現れてくれないだろう。
メイサは自分だけの病を1人で治すしかないのだ。
誰かに協力を求めることも許されない。
「私…あとどれくらい生きられるの?」
誰に言うでもなく呟いたが、返ってくるのは雨が激しく窓を叩く音だけ。