第3章 王宮
「ふう…やっと着いたぁ。ここが王宮だよぉ。」
王宮の門の前で彼女をおろした。
彼女の顔を見ると、吃驚したというか、状況が飲み込めていない感じだった。
「さあ、入るよぉ」
僕は彼女の手を引き、王宮へと足を運ばせた。
シェリーは、重い足取りで門をくぐった。
『コンコン』
「誰だ」
扉を軽く叩くと、低い声が聞こえた。
「僕だよ、紅覇」
「…入れ」
『ギィィィ…』
重たい扉を開け、中に入る。
その中で書類を整理している人物がいた。
その人物とは、
「…何か用か、紅覇」
「うん、炎兄」
紛れもない、練 紅炎のことである。
紅覇の腹違いの兄だ。
「実はねぇ、町に行ったらこの子が踊ってて、気に入ったから連れてきちゃったんだぁ」
それでね、と付け足す
「この子を此処で住ませたいんだぁ」
にこり、と単純な笑みを紅炎に見せた。
「…ほう、それは本人に了承を得て、か」
紅炎がシェリーに視線を向ける。
「…、え、と…あの…」
シェリーは何と返せばいいのか解らず、言葉を詰まらせる。
「もっちろん、そんなの当たり前じゃないかぁ」
「…⁉」
シェリーは反射的に紅覇の方を見て、目を見開く。
了承した覚えはないのに、勝手にした事になっていた。
「…、そうか」
そんなシェリーを見て、すこし考える動作を見せ、紅炎はあまり納得していないように言った。
「貴様、名は何という」
紅炎がシェリーの顔を見る。
「、…シェリーです。以後、お見知りおきを」
シェリーは一瞬戸惑ったが、すぐに自分の名を名乗り頭を下げた。
「そうか、俺は練 紅炎だ。紅覇の我儘に付き合って貰ってすまなかったな。ゆっくりしていってくれ」
紅炎は少し微笑みながら言った。
「…はい…!」
「ちょっとー何それ炎兄。 ていうか君、シェリーっていうんだね。よろしくぅ」
「…今知ったのか」
紅炎は呆れたような顔をした。
すると、すぐに表情を変え、紅覇に告げた。
「空き部屋がいくつかあったろう。そこに適当に連れていけ」
「は~い」
行くよ、とまた手を引かれ、今度は軽い足取りで紅覇の後を追った。