第5章 コイバナ
「紅玉は好きな人、いるの?」
正直言って、その言葉が返ってくるとは思っていなかった。
私は顔が熱くなるのを感じた。
「…なっ、なななな…何で……‼」
「(あれ、この反応は…)…図星、かな?」
「っっ‼!/////」
今の私の顔はきっとさっきよりも熱くなっていることだろう…。
「誰々!?どんな人なの!?性格は!?」
そんな私はお構いなしに、質問攻めしてくるシェリー。
その目は、すごく輝いていた。
「だっ、だから、私はす、好きな人などいなく、てっ…!」
「そんな顔して言われたって効果ないぞー‼むしろ逆効果だぁ‼」
ぎゃ、逆効果…⁉
一体何が逆効果なのだろう。
「で、でもっ…‼私はぁ……」
「ええい‼」
必死に否定し続ける私に、シェリーは切れたように叫んだ。
「そこまで否定するのであれば、こうしてくれるわい‼」
口調がおかしいわよシェリー⁉
なんてツッコミを知ってか知らずか、シェリーはずかずかとこちらに近づいてきた。
反射的に、私は後ろへ下がる。
すると、シェリーはもっと近づいてきて。
そんなやりとりを何度か繰り返していると、突然それは終わりを告げた。
背中に違和感を感じたのだ。
後ろを見ると、そこには壁があって。
「ふふ、もう逃げられないね…?」
シェリーがすぐ近くにいて、私の顔の横にトン、と手をついた。
いわゆる壁ドン。
ふうっ…と、耳に息をかけられ、思わず身体がビクッと震える。
「クスッ……可愛い…」
私の髪をひと束とり、キスをおとすシェリー。
その仕草に、不覚もドキッとしてしまった。
「…紅玉……」
そう呟いて顔を近づけてくる。
……って、
「シェリー…⁉や、やめ……//」
そんな私を無視して、どんどん顔が近づく。
もう駄目だ、と目をぎゅっと瞑った。
でも、いつまでたっても変化は起きなかった。
「……?」
疑問に思い、目をそっと開けると、
「……ふ、くくっ…」
口を押さえて笑っているシェリーの姿があった。