第1章 初恋
保健室に入ると、玉森さんが私を見る。
『な・・・んですか?』
「足出して。湿布貼るから。」
玉森さんが優しく笑う。
足を出すと玉森さんの綺麗な手で足を触られる。
不覚にもドキッとしてしまう。
触られただけなのに、その場所が温かく感じる。
「なに?」
玉森さんが首を少し傾げる。
『彼女・・・とか・・・いるんですか?』
私なに聞いてるの!?
「いるよ。」
ズキッ
胸が苦しくなった。
なんで?
どうして?
この気持ちは何?
ガラッと保健室のドアが開く。
「裕太〜♡」
女の子が入ってきて、玉森さんに抱きつく。
「やめろよっ!」
顔を赤くする玉森さん。
「早くしないと先生に怒られちゃうよ?」
時計の針が授業開始1分前を指す。
「先いってて。俺はこの子を連れてくから。」
女の子が私を睨む。
「わかった!じゃあまたね!バイバイ!」
裕太を見て笑顔でそう言う女の子。
少し怖い。
でも、玉森さんが私を見て優しく笑ってくれるから、それだけで怖くもなんともない。
不思議な気持ち・・・
この気持ちに名前はあるのかな?