第4章 3.
そのまま私は話せる余裕もなく、無言で歩く。
だって、手だよ!手!
藤ヶ谷太輔と手繋いでるんだよ!?
呼吸、ちゃんとできてるかな私!
息づかいが荒いと思われると恥ずかしいから、ちょっと控えめに息を吸ってる女子高生です!どうも!
サキ「あ、ここがお家です、わざわざここまでありがとうございました。」
ぺこりと頭を下げる。
ふられて落ち込んでただけのほぼ他人の私に、ここまでしてくれたことへの感謝を伝えたい。
藤ヶ谷「全然大丈夫だよ。こちらこそ楽しい時間をありがとう。じゃあね。」
さらりと立ち去る藤ヶ谷くんを見て、私も頭を上げて家に入る。
靴を脱いで、いつもの癖でスマホを出そうとカバンを開ける。
すると、見知らぬスマホが。
え?間違えて藤ヶ谷くんのやつ持って来ちゃったのかな?
確かめるためにスマホを開こうと思うけど、プライバシー問題とかもあるし、なかなか開けないまま目の前に置く。
なんとなく、正座してそれを見つめる。
…どうしよう。