第4章 3.
それを続けて五分。
そのスマホが突然音を鳴らして着信を知らせた。
え、え、電話だ。
でも、これ知らない番号からだ…。
出たほうがいいのかな、仕事の電話とかで出ないのとか困るよね、多分…。
でも、女の声なら困るかな、お父さんに頼むべき?
いや!声を出さずに出てみたらいいのか!
藤ヶ谷くんがないことに気付いて、電話してきたのかもしれない!!
意を決して、電話をとる。
藤ヶ谷「あ、もしもし、サキちゃん?」
この声は…!藤ヶ谷くんだ!
サキ「よ、よかった、藤ヶ谷さんだ…。」
藤ヶ谷「んん?どうしたの?(笑)」
サキ「お仕事の電話とかだったらどうしようかと思いました…。」
藤ヶ谷「ああ!ごめんね、説明してなくて。
それ、俺のもう一個の方のスマホなんだけど、全然使ってないし、俺以外から電話は来ないと思うから安心して(笑)」
サキ「そ、そうだったんですか…!」
藤ヶ谷「明日のことも決めなくちゃいけないしね(笑)
明日、何時頃なら大丈夫?」
サキ「学校なので、5時以降ならいつでも大丈夫です!」
藤ヶ谷「オッケー。
じゃあ6時過ぎに近くの杉の木公園来れる?」
杉の木公園は家の近くのすごくローカルな公園。
サキ「大丈夫です!」
藤ヶ谷「ありがとう。じゃあ楽しみにしてるね。」
サキ「た、楽しみに…!?」
藤ヶ谷「ふふっ(笑)
じゃあ、サキちゃんおやすみ。」
サキ「お、おやすみなさい…!」
それを言って電話をきる。
だめだ、私、藤ヶ谷の一言で喜んだり照れたりしすぎだ。
恥ずかしすぎるよ…。
でも、また明日も会えるんだ…。
本当に夢じゃないよね?
今の状況が不思議すぎる。
昨日までは、普通に涼太とLINEとかしてただけの私が、
藤ヶ谷くんと待ち合わせをしてるなんて…。
あーー、考えても分かんない!!無駄だ!無駄!!
寝よう!!!
その日は、いつもより早めにシャワーに入って、
テレビも見ることなくベッドに入った。