第11章 証明(リヴァイside)
夕食の時間になった。
今日の演習でも負傷者が出ている事に対してリヴァイは呆れていた。
エルヴィンが先に食堂に入りリヴァイが1歩後ろに立つと兵士達がこちらを向く。
「少し君達に話さなければならない。
エミが憲兵に行ってから演習でも怪我人が増えている。
彼女が居なくなって辛いだろうがそんな気持ちで壁外に行ったら真っ先に死ぬ。
ここでは演習は必要不可欠だ。
私は君達を巨人によって失いたくない。
明日からは気を引き締めて演習に望んでくれ。
それが出来ないのであれば、退団してもらう」
エルヴィンの言葉に兵士達が動揺した。
「お前ら、何の為の演習だと思ってやがる。
巨人に食われる為か?
それなら迷惑だ。
私情を挟むぐらいなら今すぐ出て行け」
団長と兵士長の言っている言葉を兵士達は理解している。
そしてリヴァイが怒っているのもかなり伝わっていた。
すると1人の兵士が立ち上がった。
「申し訳ありません。
エミさんが居なくなってから団長と兵長が仰る通り、気が動転して重要な演習にも関わらず私情を挟んでしまっていたのは事実です。
ここに居る皆も同じです。
俺が代表して謝ります」
するとエルヴィンは微笑んで兵士を見た。
「分かったのならそれで良い。
食事中にも関わらずこんな話をしてしまって済まなかった。
食事を続けてくれ」
そう言ってエルヴィンとリヴァイは食堂の最奥にあるテーブルに座り夕食を食べ始めた。
するとハンジがバタバタと走ってきた。
「いや~今の凄く恰好良かったよ!
尊敬するな~」
「ハンジ、この後ミケと一緒に執務室に来てくれ。
大事な話がある」
エルヴィンがそう言うとハンジは悟ったらしい。
「あの件の事だね。
それにしても意外と返事が早かったね」
「それは私もリヴァイも思ったよ」
「それよりお前、食わねぇのか?」
「あ!忘れてた!」
そう言ってハンジは夕食を食べ始めた。
食事中のハンジには誰もなるべく近寄りたくない。
「そうそう巨人の事なんだけどさ~」
(始まった…)
ハンジの大好きな巨人の話はリヴァイもエルヴィンも何十回と聞かされている。
リヴァイは嫌そうな顔でハンジを見るが、エルヴィンは楽しそうに話すハンジを見るのが嬉しいらしい。
(こいつも奇行種か?)
そう思いながらリヴァイはその場から離れた。