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第10章 格闘(ヒロインside)


休む暇も無くどんどん向かってくる相手をエミは殴ったり蹴ったりしながら倒していく。

「しつこい」

エミは呟いた。

倒れたと思ったら再び立ち上がってまた向かって来る事に嫌気がさしてきた。

だがここで負けては犯される事になる。

それだけは避けたかったので相手をしたが…

10分も経たない頃には兵士達は動かなくなった。

エミは息1つ乱さずに倒れた相手を見つめる。

「もう終わりですか?
貴方達は王を守る為に中央憲兵に居るんですよね?
そんな格闘術でよく偉そうな口が言えますね。
私からしたらこれはただの子供の喧嘩にしか思えません」

そう言うと1人の兵士が痛みを堪えながら立ち上がる。

「お前に何が分かる…
俺達は中央憲兵だ。
つまり王によって選ばれた精鋭なんだよ。
お前が居た糞みたいな調査兵団とは違う」

「精鋭?
聞いて飽きれますね。
もしここが調査兵団であれば、貴方達は新兵以下の実力です。
壁外で真っ先に死にますね」

そう言いながら冷たい目で立ち上がった兵士を見る。

「お前のように巨人相手に無駄な力を使うような事はしねぇ」

「ならば私より強くなれますか?
私は女です。
力ではさすがに男の人には勝てませんが、それを補う術は持ち合わせています。
それを使った結果がこれです」

「ほう…ユベラ、喧嘩でも売られたのか?」

いきなり別の声が聞こえ後ろを振り向くと、王がこちらを見ていた。

驚いて敬礼をすると「楽にしろ」と言われた。

「何故ここにいらっしゃるのですか?」

「わしだって散歩ぐらいはしたい。
それより、そこのお主達はユベラの事を知らんのか?」

「どういう事でしょうか」

1人の兵士が恐る恐る聞くと王は笑いながら答える。

「ユベラは人類最強の女兵士と言われておる。
それを知らずに喧嘩を売ったのか?」

その言葉を聞いてその場に居た兵士5人の顔が青ざめた。

「申し訳ありません。
彼女がそう謳われているとは存じ上げていませんでした」

「剣でも格闘術でもユベラはお主らの上官よりも強い。
喧嘩を売ると場合によっては死ぬかもしれぬ。
その事を肝に銘じて置く事じゃな。
ユベラ、部屋でゆっくり休みなさい」

「はい」

王が立ち去った後、エミも自室に戻った。
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