第9章 希望(リヴァイside)
ハンジは真剣な目つきで推測を始めた。
「情報によると今の王はエミの父親の兄らしい。
ましてや1人身なら唯一の姪にもなる。
多分それぐらいの事は彼女と謁見した後、誰もいない時に自ら正体を明かすと思う。
それに王の親族はエミしかいない。
そう考えると監視しやすい側近として隣に置くのが1番だね」
「根拠は何だ?
第一エミは王の顔を知らないと思うが」
リヴァイは静かに聞いた。
「エミがまだ私の班に居るときに父親の兄が写っている写真を見た事があると言っていた。
大人の顔は歳をとっても大きく変わる物じゃない。
謁見する時に王の顔を見て気付く可能性がある」
「ミケはどう思う」
「ハンジの推測は正しいだろうな。
エミはそんなに間抜けな人間ではない。
気がかりなのは、王が父親の兄だと確信した時にどんな行動を取るかだな」
ハンジもミケも的を付いた事を言っている。
エミの父親の処刑を認めるには王の命令が無いと執行されない。
それは彼女自身も知っている事だ。
父親の兄であると知れば自然と恨むであろうが、エルヴィンの計画を実行するにはすぐに殺す事は得策ではない。
ただでさえ憲兵を毛嫌いしている。
目の前に現れた人物を見た時、どう思うか...
さすがに今回の相手は巨人では無いのですぐに殺すなどしない筈だ。
だが、早急に計画を実行しなければならない。
「ミケ、ハンジ」
リヴァイに呼ばれて顔を向けると睨みつけるような目つきで話した。
「2人共分かってるだろうが、早めに手を打たないとエミが何かしら勝手に行動を起こすかもしれん。
明日エルヴィンが戻ってきたら、すぐに計画を立てて実行するぞ」
「確かにこのままだと時期を見てから私達が行動するっていうのは遅いね」
ミケもハンジの言葉に頷く。
エルヴィンが帰ってくるのは早くても昼前になる。
帰ってきたら飯抜きになってでも話し合いしてやる...
リヴァイはそう考えてミケとハンジを部屋から追い出すと書類を書き始めた。