第9章 希望(リヴァイside)
「心配する気持ちは分かるけど、少し冷静になったら?」
ハンジは呆れ顔でリヴァイを見る。
「お前に俺の何が分かる」
「そりゃあ長い間一緒の兵団に居るんだからそれぐらい分かってるつもりだけど?」
「なら言ってみろ」
リヴァイは睨みつけながらハンジの答えを待った。
「あんたの性格から考えたら嫉妬してるんだろうね。
例えば憲兵に何されるかとか、触られたくないとか」
図星だ。
舌打ちをするリヴァイを見てハンジは周りを気にした。
「とりあえず部屋に戻って話そう。
ここだと他の人に聞かれたら大変だからさ。
ちょっとミケを呼んでくるから先に戻ってて」
そう言ってハンジはミケの部屋へと走って行った。
リヴァイは執務室に戻り椅子にドカッと座る。
よくよく考えたらハンジとは15年以上の付き合いになる。
リヴァイが調査兵団に入った時には既にハンジがいた。
そのぐらい長いと相手の気持ちぐらい分かるのだろう。
心を落ち着かせる為に紅茶を淹れた。
ゆっくりと飲んでいるとドアがノックされる。
ミケとハンジが部屋に入ってくると何も言わずにソファーに座ったので、向かい合わせになるようにリヴァイも椅子をずらして座った。
「エルヴィンが帰ってくるのは早くて明日か」
「そうだね。
ねぇミケ、これの事どう思う?」
ミケは少し考えてから答えた。
「正直な所、間違いないだろうな。
ただ、かなり厄介なのには違いない」
ミケは髭を触りながら話しを続ける。
「今思い付いたんだが、もしかしたら王を引きずり出すチャンスにもなるだろうな」
「なるほどね」
ハンジは少し考え込む。
「多分中央はエミの生い立ちを調べてある筈だよね。
そう考えると殺さずに側近にする可能性が高い。
王にとって唯一の姪だし、処刑にはしないと思うんだけど…」
「中央の事だ。
あそこはそんな慈悲深い人間の集まりだと思うか?」
リヴァイは2杯目となる紅茶を注ぎながら聞いた。
「王だって人間だよ?
それに子供どころか結婚さえもしていない。
中央なんて王の言葉で動いてるんだから」
「とりあえず問題なのは王が本物で無いという所だろう?
いつ偽物に変わったんだ」
ミケが無表情で聞くとハンジは躊躇わずに言った。
「それは分からないけど王は普通一般人とは会わない。
つまりいつでも可能だね」
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