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第9章 希望(リヴァイside)


その日は食事以外1日中執務室に篭っていた。

いつも食事を取る時は隣にエミが居たが、今日からはいない。

その代わりハンジが隣に来て色々話していたが、巨人の事ばかり話すので殆ど聞いていなかった。

今日の仕事は全て終わっており、ただ椅子に座って考え事をしていた。

どうすればエミを取り戻せるのか...

どうすれば王が本当の王では無いと証明出来るのか...

そもそも何故偽物の王が居るのか...

それを知る為には王立図書館に行けばヒントぐらいは分かるだろうが、立ち入るには王の許可がいる。

何もかも王が絡んでくる事に嫌気が差してくる。

そうしているとドアがノックされ、ハンジの班のモブリットが入ってきた。

「どうした」

「兵長、分隊長の様子が変なので来て貰えませんか?」

困った顔で言ってきたので仕方なくハンジの部屋に行きドアを開けると...

「...これは何だ」

目の前には紙が床一面に散らばっていた。

思わず険しい顔になる。

その奥にある机にはハンジが突っ伏していた。

リヴァイの声が聞こえたのかハンジが顔を上げると驚いた顔で話しかけてきた。

「何でリヴァイがここにいるの」

「モブリットが呼びに来た。
それよりこの汚ねぇ部屋はどういう事だ」

「あぁ、これは例の計画を考えててボツにした紙だよ」

リヴァイは何も言わずに帰ろうとするとハンジが大声で呼び止める。

「ちょっと待って!
リヴァイは何か案無いかな?
巨人相手だとどんどんイメージが湧いてくるんだけど、相手が人間だと全然良いのが湧かなくてね...」

「それならエルヴィンが帰ってきてから皆で話し合ったらいいだろ。
まずはこの部屋の汚さをどうにかしろ」

そう言って部屋を出るとモブリットが後ろで待機しており、礼を言われた。

「お前も大変だな」

それだけ言ってハンジの部屋を後にする。

リヴァイは私室に戻り風呂に入ろうと思って浴槽に入っている温かいお湯に入浴剤を入れようとした時、エミの話を思い出した。

「これも分身みたいな物だな...」

そう呟いて入浴剤を入れると浴室は良い匂いに包まれる。

湯船に浸かると脳裏にエミの笑顔が浮かんだ。

もう一度あの笑顔が見たい...

その為にはどんな手を使おうが取り戻してやる...
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