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第8章 憲兵


「ロイヤルストレートフラッシュ」

そう言ってエミは手持ちのカードをテーブルに広げた。

「またお主の勝ちか。
強い相手とするのはやりごたえがあるのぉ」

エミがカードを1つに束ねると尋ねた。

「お約束どうり非番を頂けますか?」

「仕方あるまい。
明日1日だけやろう」

「有難うございます」

すると王が突然質問をしてきた。

「ここの住み心地はどうだ?」

「まだ昨日来たばかりで他の兵士に会ったのも今朝なので何ともいえませんが…
正直居心地は悪いです」

「そうじゃろうのぉ。
ここにおる兵士は威張っておるが、役立たずだ」

王がそう思っていると初めて知りエミは驚いて目を丸くした。

それを見た王は笑いながら話を続ける。

「それに比べてお主は兵士らしい顔をしておる。
何故首席で訓練兵を卒業したのに調査兵団を選んだ?」

「…父が調査兵団でしたので」

「ほぉ…」

戸惑いながら答えるエミを見る目は鋭さを感じる。

「父の名はアイリッシュ・ユベラであろう?」

「!!」

自分の事を調べたと言っていたが、父の名前を言われて驚いた。

「そんな驚く事では無い。
ここだけの話じゃが、アイリッシュはわしの弟じゃ」

それを聞いてエミは全て思い出した。

遠い昔に見た写真の人物。

父は名前を教えてくれなかったがその人物は紛れもなく目の前にいる人だった。

「ではあなたは…」

「お主の伯父じゃ。
不思議に思うのは無理もない。
普通は有り得ない事じゃからの」

「ならば何故父の処刑は免れ無かったのですか…」

ふつふつと湧いてくる怒りを抑えながらエミは冷静に言った。

「アイリッシュはわしを王から引きずり下ろす存在の何物でもない。
関係が漏れてしまうのも良くないからのぉ」

「だから処刑を認めたのですか…
そして次は私の結婚を認めずに側近にした…」

「ユベラの血は絶やさなければならぬ。
その血が受け継がれると都合が悪いからのぉ」

淡々と答える王を憎く思った。

だが側近になった事で自分の手で殺めるのは得策ではない。

「わしが憎いか?」

「...はい。
しかし私は側近である以上全力であなたを守ります」

そう答えたが心は違った。

リヴァイが迎えに来た時にこの人を殺す...
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