• テキストサイズ


第6章 運命


「こんなもん持っててどうするんだ?」

リヴァイはタンスから取り出しながらエミに聞いた。

「私の誓いみたいなものですね」

「誓い?」

「はい」

リヴァイは意味が分からないという様な顔をして愛用しているクラバットを渡した。

「私は兵長の傍で戦う事が出来なくなります。
ましてや王の管理下に置かれます。
兵長に会えるのはいつになるか分かりません…
…だから…」

そう言ってエミは静かに涙を流した。

「せめて…心だけは兵長の傍…に…」

涙がどんどん溢れてきた。

リヴァイの傍に居たい。

リヴァイと共に巨人と戦いたい。

そして何よりもリヴァイと居た時間を忘れたく無かった。

エミのその姿を見てリヴァイは何も話せなかった。

リヴァイ自身もエミと離れるのは嫌だったが、彼女の状況を分かっている上でプロポーズした。

その理由は何よりも大切であるからこそ、巨人と戦って負傷するエミを見たく無かった。

心配する必要は無いが、巨人を見ると記憶を失う程殺す事に執着する。

それがどれだけ危険な事かリヴァイには分かっていた。

「エミ…」

泣いている頬を手で包む様に触り、これ以上に無い言葉を言った。

「必ずお前を迎えに行く。
いつになるかは分からないが、必ずだ。
それまで辛抱出来るか?」

リヴァイの言葉に迷いは無かった。

リヴァイは約束を必ず守る性格だ。

「はい」

精一杯の笑顔を見せるエミを優しく抱き締める。

「お前にとってかなり辛い選択だった筈だ。
俺は生きている限り、お前の婚約者だ。
どんなに離れても、会えなくても、俺はお前の物だ。
何があろうと」

「兵長…」

そのリヴァイの率直な言葉をエミは信じた。

「絶対ですよ?
私が居ない間、浮気したら許しませんからね」

「馬鹿言うな。
俺はお前以外に好きになった奴は今まで居ない」

「これからは?」

そう尋ねられデコピンをしてリヴァイは微笑んだ。

「俺がそんな男に見えるか?」

「だって兵長ですよ?
モテモテじゃないですか」

からかう様に言うと怪訝そうな顔で答えた。

「他の女は触れられるだけで気持ちわりぃ」

「兵長らしいですね」

エミは思わず笑ってしまった。

それに釣られてリヴァイも笑った。
/ 163ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp