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第6章 運命


その日、エミはリヴァイの部屋に泊まった。

何をする訳でも無く、ただ単に傍に居たかった。

それはリヴァイも同じで、近々訪れる暫しの別れを忘れたかった。

エミが内地に行っている間も璧外調査は行われるだろう。

人類最強と言われていても巨人に殺される可能性は無い訳ではない。

だから今は少しでもエミの温もりを感じていたかった。

全て知った上でプロポーズをしたが、現実になる事がこんなにも苦しいと初めて知った。

「兵長…」

ベッドで2人横になっているとエミが話しかけてきた。

顔を見ると僅かに涙が目に溜まっている。

「どうした?」

「この選択は正しかったんでしょうか…
中央に行って、私は耐えれるのでしょうか…」

憲兵の事を嫌っているのは前から気付いていた。

それをエミは感情を殺してまで行く事を決意している。

「お前なら大丈夫だ。
もし憲兵の奴らがお前に何かしたらそいつを殴ればいい」

その言葉を聞いて苦笑いした。

「そうですね…
でも怖いです…
王が居るあの敷地の中で私の立場を考えると、私は弱者でしかありませんから…」

「そう思うなら戦闘力を見せつけたらいい。
憲兵なんか大した戦闘力は無い」

「立体機動も無いのにですか?」

リヴァイはエミの頭を優しく撫でて答えた。

「格闘術があるだろ。
それで思いっきり殴ればいい」

「男の人には力では勝てません」

「演習で大の男を倒した奴が言う言葉か?」

それを聞いてエミは笑った。

「確かにそうですね。
でも相手はひ弱い人ばかりでしたよ」

「憲兵はそれ以下だ」

リヴァイが微笑むとエミはリヴァイをギュッと抱き締めた。

「兵長の言葉には安心させる効果がありますね」

「お前にしか言わねぇがな」

そう言ってリヴァイは頬にキスをした。

「俺達は離れても心は傍にいる。
手紙でも出してやりたいが、多分お前には届かないだろうな」

エミは目を大きく開いてリヴァイを見た。

「事情が事情だ。
調査兵団の俺と連絡は取れないだろ。
もし王の側近にでもなれば尚更だ」

「…兵長の仰る通りですね。
では再び会う時はビックリさせて下さいね」

「保証は出来んぞ」

そう言いながらもリヴァイは笑顔だった。
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