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第6章 運命


少し沈黙が続き、それを破るようにエミは話した。

「少しだけ考える時間を頂いていいですか…?」

「勿論だ。
気持ちの整理は必要だろう。
答えが出たら言ってくれたので構わない。
それまでこの事は保留にしよう」

「…有難うございます」

そう言ってエミは執務室を出た。

そのままエミは自室には戻らずにいつものデッキへ向かった。

ベンチに座って空を見上げる。

いつもは夜中に来ていたので、青く広がる空は新鮮だったが今のエミには何も感じ無かった。

そして胸ポケットからリヴァイから貰った指輪を取り出した。

リヴァイは知っていた。

それを承知でプロポーズをしてきた。

何か理由がある筈だ。

もし結婚するなら自分は中央に行かなくてはならない。

そうなったらあのエンブレムが描かれている兵服を着なければならない。

そして極めつけは中央憲兵だ。

中央憲兵になると調査兵団と関わる事はほぼ無いに等しい。

どのぐらい居なければいけないのか…

そう思いなから指輪を眺めているとある事に気付いた。

「これは…」

小さくて見にくいがダイヤモンドが付いている部分に文字が掘ってあった。

それはエミの名前とリヴァイの名前の頭文字だ。

リヴァイの気持ちがその時僅かに分かった。

リヴァイの考えている事…

確信を得るにはリヴァイに聞く必要がある。

そしてその答えによって覚悟を決める事にした。

もしこの考えが正しければ嫌ではあるが中央に行く。

エミはそう決めて、夜になってリヴァイに会う事にした。

今日は非番では無いので、いつも通り演習監督をして報告書の作成をしなければならない。

エミは重い腰を上げてそのまま演習場へ向かった。

仕事に公私混同をしてはいけないので、道中は気持ちを整えていつも通り演習を開始した。

一方リヴァイはエルヴィンと話をしていた。

「エミも一人前の兵士になったね」

「当たり前だ。
何年ここに居ると思ってる」

その言葉にエルヴィンは苦笑いした。

「だがリヴァイのおかげでもあるよ」

「どういう事だ」

リヴァイが曇った表情でエルヴィンに聞くと微笑みながら答えた。

「それは君が1番分かってるだろ」

「…仕事に戻る」

それだけ言ってリヴァイは執務室を出た。
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