第1章 夢
ふとエミは目を覚ました。
窓からは明るい陽射しが射し込んでいる。
(夢を見ていたんだ...)
「起きたか」
その声にビックリして声が聞こえたほうを向くと、リヴァイが目の前に立っていた。
「おっ...おはようございますっ!」
飛び起きる...と言ってもベッドの上で座るのがやっとだった。
負傷した背中はまだ痛むが昨晩程では無かった。
「お前、寝ている間泣いていたが...」
「えっ...」
顔を触ると涙で濡れた頬があった。
急いで涙を手で拭い平常心を保ちながらリヴァイの顔を見て答えた。
「大丈夫です。
それより...」
頭の中でふと思った事を言おうとすると、それを察知したのかリヴァイは口を開いた。
「俺のことはいい。
それより昨日から何も食べていないが腹は減ってねぇのか?」
そういえば倒れてから何も食べていない。
だが食欲が無い。
「無理にとは言わないが何か食わねぇと体力が戻らないだろ。
スープぐらいは食えるか?」
そう言われると頷くしかない。
小さく頷くとリヴァイはドアのほうへと向かって行った。
「持ってきてやるからそこにいろ」
そう言ってパタンとドアが閉まった。
その姿を見ると先程見た夢の父とリヴァイが重なった様に感じた。
父は優しくて温かい人。
リヴァイは怖い風貌ではあるが部下想いの温かい人。
そう考えると変な気持ちになった。
父とリヴァイは違う。
でも何か共通点があるように思えた。
リヴァイにこんなに優しくされたのが初めてだったので、戸惑っている自分がいる。
きっと自分でなくても他の人がこの状況になったらリヴァイは同じ事をするであろう。
そう考えてエミはベッドに座ったままリヴァイの温かさに感謝をすることにした。