第1章 夢
どのぐらいそうしていたのだろう。
窓からは明るい陽射しがエミを照らしていた。
エルヴィンから渡された封筒を見つめ、そして中身を取り出した。
封筒の中には1枚の手紙が入っていた。
手が震える...
手紙を読む気になれない。
いや、読む勇気がない。
でも読まなければ今朝エルヴィンが言った事を理解出来ないと思った。
そして意を決して手紙を開く。
そこには父らしい綺麗な字が綴られていた。
『エミ、今お父さんの事をどう思っているのだろう。
この手紙を読む頃にはお父さんは星になっていると思う。
心配しなくていい。
お父さんもお母さんも、空からエミの事を見守っているから幸せになって欲しい。
愛しているよ、エミ』
そう綴られた手紙にポツポツと涙が落ちる。
『...お父さん、どうして...』
そう呟いて静かに窓から外を見た。
空はエミの心とは裏腹に青色だった。
すると、二匹の鳥が優雅に空を舞っているのが見えた。
『...自由の...翼...』
父は人類の希望となる為に調査兵団へ入った。
エミは決心した。
自分も調査兵団に入る。
人類の為。
そして、自分を産んで亡くなった母、調査兵団の為に亡くなった父の為にも。
父がそうであったように、次は自分が人類の希望になる。
何よりも、父は何故死ななくてはならなかったのかを知る為に。