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第6章 運命


デッキに着くと2人揃ってベンチに座る。

空を見上げると沢山の星が瞬いていた。

「昔、父が教えて下さった話があるんです。
人は死んだ時に星となり、愛する者を見守り続けると。
父は見守ってくれてるんでしょうか...」

エミの瞳から一筋の涙が流れるのをリヴァイは見た。

父親が死んでからずっと孤独だったのだろう。

それはリヴァイも同じだった。

「父が死んで私の心は空っぽになりました。
そしてこの世界も色が無くなり、私はいつしか兵士が嫌いになりました。
でも...今は違います」

エミは空を見上げたままだが、その姿はとても綺麗で魅力的だった。

「兵長に出会い、そして結ばれる...
兵長は空っぽになった私の心を埋めてくれました。
私が長年抱いていた悲しみを受け止めてくれました」

そう言うとリヴァイの方に体を向け微笑んだ。

「救って下さって有難うございます」

リヴァイは優しくエミの頬に手を添えた。

「救ったのは俺だけじゃない。
エミ、お前も俺を救ってくれた」

「えっ...」

驚くエミを見てリヴァイは思わず笑ってしまった。

「俺は地下街からエルヴィンによって地上に出された。
心臓を人類の為に捧げると誓い巨人を殺してきたが、何処か孤独だった。
その時、お前が俺の前に現れた。
お前は勿論だが、俺自身も気付かなかった事がある」

そう言ってリヴァイは今まで見せた事の無い、心からの溢れる微笑みを見せた。

「お前が居てくれるだけで俺の存在価値が上がった」

それを聞いてエミは更に涙を流した。

その涙をリヴァイは指で拭く。

「明日、エルヴィンがどういう反応を見せるか楽しみだな」

「冗談って思われるかもしれませんね」

クスクスと2人は笑った。
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