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第5章 面影


壁外調査当日。

いつもの様に門の前で愛馬に乗り開門の時を待っていた。

エミの隣にはリヴァイが無表情で馬に乗っている。

今回はエミとリヴァイは2人だけでの行動を許されていた。

「開門30秒前!」

エルヴィンが叫ぶと隊員の顔が一気に引き締まる。

徐々に門が上がって行くのを見て、エミは再び不安に襲われた。

「大丈夫だ」

隣にいたリヴァイがエミに話しかけたおかげで少し不安が薄れた。

「第49回壁外調査開始!
総員進め!」

エルヴィンの号令と同時に馬が走り出し壁外調査が始まった。

暫く馬を走らせると右から黒い炎弾が放たれた。

「奇行種か」

すると直ぐにエルヴィンが左に向けて緑の炎弾を打つ。

補給地点の確保が目的の今回はなるべく戦闘を回避するようになっている。



「この足音は...奇行種か」

リヴァイがそう呟くと前方から勢いよく巨人が現れた。

その姿を見た瞬間、エミの目つきが一気に変わる。

いつもの普通の目ではない。

「行きます」

そう告げてエミは馬を最高速度まで上げて走り始めた。

「待て!
ここは平地だ!」

そんなリヴァイの言葉は彼女の耳に届いていなかった。

奇行種に近付き馬から飛び降りてエミは歩いた。

その光景を見たリヴァイは危険を察知した。

1体では無かった。

後ろに奇行種が2体近づいて来ている。

(このままではマズイ)

リヴァイがそう思った瞬間、最初に姿を現していた巨人が一瞬にして蒸気を放ちながら倒れた。

「残り2体。
お前ら、本当に馬鹿だね」

その言葉をリヴァイは聞き逃さなかった。

その瞬間、10メートル級の奇行種がエミに手を伸ばしたが、エミはガスを吹かせながらその腕を縦に切り裂く様に回転しながら項に着くとそのまま削いだ。

その勢いでもう一体も殺す。

その光景を見てリヴァイは唖然とした。

エミが右手に持っているブレードは逆手だった。

しかもアンカーを殆ど使っていない。

リヴァイはただ馬に乗り、万が一の為に剣を抜いていたが必要無かった。

するとエミは馬に乗り冷静な口調でリヴァイに話しかけてきた。

「陣形に戻りましょう」

そう言って馬を走らせた。
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