第3章 何故
それから数日間、エミは今まで以上に忙しかった。
難しい書類をエルヴィンから渡され、君のサインも必要だから目を通してくれと言われた書類の束は...
「これ...兵長以上じゃない...?」
そう呟いてしまう程の物だった。
1つ違うのはただ目を通してサインすればいいだけな所だ。
それでも多すぎる...
演習に復帰してから体力は元に戻ったが、頭を使う作業だけは慣れない。
そういえば...
何か忘れているような気がする。
「あっ!!!」
リヴァイとの約束だ。
3日前にリヴァイから突然告白され、今日はその返事をしなければいけない日だった。
時間まで後1時間。
頭がゴチャゴチャになってきた。
「兵長...何で私なの...」
項垂れるがそんな時間も無い。
もし遅れるものなら殺され兼ねない。
そしてもう1度考えを戻した。
リヴァイに対する気持ち...
他の仲間は大切な存在で好きだが、それは仲間としてであって恋愛感情とは違う。
リヴァイは...
ボーッと考えたらいつの間にか約束の時間になる寸前だった。
少しでも遅れたら後々は怖い。
とりあえず行こう!
そう思い、エミは急いで殆ど誰も来ないあのデッキに向かった。