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第3章 何故


その日夕食後、幹部達がエルヴィンの執務室に呼ばれた。

内容は次の璧外調査についてだった。

淡々と説明する様子を見て、いつもこんな感じなのかとエミは思った。

幹部になってからまだ数日。

実感はまだ無いが、こうして作戦をエルヴィンから聞く事を嬉しく感じている。

「で、今回は補給拠点を作るのが目的だ」

「捕獲は無しか〜」

ハンジは少し落ち込んだ。

「さて、会議は終わりだ。
今日はエミの幹部祝いに祝杯でもしよう」

笑顔で部屋の奥から酒瓶を持ってきた。

「そう言えば君は酒は飲んだ事はあるのかい?」

「ありません」

15歳で調査兵団に入り7年経つが酒は一滴も飲んだ事は無かった。

「それなら尚更良かった。
これは内地で貰ったのだが、かなりの上物だ」

そう言いながらエルヴィンは楽しそうに蓋を開ける。

全員のコップに注がれると

「ではエミの幹部昇格に乾杯!」

ハンジがそう叫び皆がコップに口を付けたので、エミも一口飲む。

「どうだい?
初めてのお酒の味は」

一口飲んだだけだが、上物なだけあってかなり美味しい。

「凄く美味しいです!」

「それは良かった」

それからは雑談で盛り上がった。

部下の恋愛話やたわいの無いこと。

普段話す事がほぼ無い話ばかりだったので、かなり楽しい時間だった。

楽しそうに笑う彼女を見てリヴァイも幸せな気持ちになった。

その様子に気付いたのかエルヴィンがリヴァイに小声で話しかけた。

「凄く楽しそうだね」

「そうだな。
だがあのペースだと酔い潰れるぞ」

確かにエミはかなりのハイペースで飲んでいる。

ハンジがどんどん勧めているからだが、酒を飲むのは初めてだ。

そして的中し結局エミは酔い潰れてしまった。

「ハンジ、飲ませ過ぎだ」

「そんなに飲ませたっけ?」

ハンジを見て多少苛立ちを覚えたがリヴァイは立ち上がりエミを抱き上げた。

「部屋に連れて行く」

「襲うんじゃないよ〜」

からかうハンジは放ったらかしにして、リヴァイはエミの部屋へ行った。

部屋に入りベッドに寝かせるとリヴァイはエミの寝顔を見た。

酔って頬が少し赤みを帯びているのを見て心臓が高まる。

込上がる欲求を押し殺してリヴァイはそのまま自室に戻った。
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