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第3章 何故


翌日、朝早くにエミは目を覚ました。

最近はよく寝れている。

演習中に木から落ちた時まで寝不足だった。

それは父の事を考えていたからでもあったが、寝たとしても夢にはリヴァイが何故か出てきた。

あの頃はリヴァイの事が怖かった。

何かされた訳ではないがあの目で見られると、どうしても恐怖を感じる。

だが今は違う。

倒れて寝込んでいる自分を心配してくれ、お世話をしてくれた。

粗暴で表情を表には出さないが、自分が思っている以上にリヴァイは自分の事を大切にしてくれていた。

それを知ってからリヴァイに対する恐怖は消え、今では尊敬してやまない。

今日は立体機動の演習予定だ。

背中の痛みもいつの間にか無くなっていた。

「よし、あの場所に行こう!」

そしてエミは自室を出て、とあるデッキに到着した。

兵団の詰所には何ヶ所かデッキがあるが、エミは殆ど誰も来ない書庫から繋がっているデッキが好きだった。

殆ど誰も来ない為、あまり作りは良くないがこの場所はエミの秘密基地みたいになっている。

ベンチに座り冷たく心地よい空気に触れのんびりとしていると、足音が聞こえた。

「エミ、何故ここにいる」

驚いてデッキの入口を見るとリヴァイが立っていた。

「兵長こそ、何故ここに...」

そう言われてリヴァイは表情を変えずに彼女の横に座る。

「部屋に篭ったままだと息が詰まる。
だから気分転換にたまにここに来ているんだが、まさかここを知っている奴が他にもいるとはな」

なるほど...

エミがリヴァイの顔を見つめているのに気が付くと、リヴァイは赤面した。

「それより、お前はこんな朝早くから何故ここにいる」

「私はここに来るとリフレッシュ出来るんです。
って、兵長と同じ考えですね」

クスクスと笑うと急に肩を抱きしめられた。

「エミ...
俺と付き合うか?」

「はいっ!?」

突然言われた言葉を理解するのに時間がかかった。

付き合うという事は、リヴァイの彼女になるという事で、まさかリヴァイから告白されるとは思っていなかった。

「今すぐ返事しなくていい。
3日時間をやる。
3日後、またこの時間にここに来い」

そう言ってリヴァイはデッキを出た。

残されたエミは赤面したまま固まっていた。
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