• テキストサイズ


第3章 何故


ノックすると明るい返事があったのでリヴァイはドアを開けた。

ちょうど片付けが終わった所なのか、テーブルに紅茶が置いてある。

「へ...兵長!」

驚いた様子のエミを他所に、テーブルに置かれている紅茶を見つめる。

「兵長もお飲みになりますか?」

「頼む」

そう答えてリヴァイはソファーに座った。

温かい紅茶を持ってきたエミはリヴァイの前にカップを置いて横に座った。

「団長の所に行っていたのですか?」

「あぁ」

そう短く答えながら紅茶を飲む。

相変わらず美味しかった。

「...エミ」

「何ですか?」

不思議そうに覗いてくる顔を見て、リヴァイの心臓がドキッとした。

今思えばエミの顔をまじまじと見た事が無い。

エミが倒れてベッドに横になっていた日も少し顔を覗いただけで、後は書類に目を通していただけだった。

何考えてやがる...

そう自分を叱咤して話を続けた。

「俺の班に入るのに怖くないのか?」

そう聞かれてエミは困った顔をする。

「...怖くない...と言えば嘘になるかもしれません。
でも、兵長がいらっしゃるなら大丈夫です」

そう言って笑顔を見せた彼女を思わず抱きしめた。

今まで恋愛とは無縁だったが、エミに対する想いは他とは違った。

そうか...

これが『好き』という気持ちなのか。

「へ...兵長...?」

突然の行動にエミは戸惑った。

先日もリヴァイに抱きしめられたが、あの時は自分が泣いていたから慰める為だと思っていた。

でも今は違う。

「エミ、もしお前に何かあれば俺が守る。
璧外でも壁内でもだ。
だから、俺の傍にいろ」

その言葉が嬉しかった。

突然何でそういう言葉を言ってくるのか、意味はよく分からないがそれを理解する必要はない。

リヴァイがそう言ってくれたのだから...

「有難うございます」

エミは優しい声で言うとリヴァイの背中に手を回して抱きしめ返した。
/ 163ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp