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第3章 何故


重苦しい沈黙の後、先に口を開いたのはエルヴィンだった。

「もしエミが暴走した時、リヴァイにしか頼めない。
リヴァイが人類最強の兵士と言われているように、エミにも異名がついてるのは知っているだろう?」

「人類最強の女兵士。
ただ、女がついただけじゃねぇか」

怪訝そうに言うリヴァイを見てエルヴィンが笑った。

「確かにそうだね。
君は見たこと無いかもしれない...
いや、見せて無いだけだが、次の璧外調査でエミの実力を目の当たりにするよ。
彼女にとって初めての璧外調査から、戦闘においては分隊長クラスを抜いてるらしいからね」

「分かった。
もしあいつが暴走した時は俺が取り押さえる」

それだけ言って立ち去ろうとするリヴァイを見てエルヴィンは投げ掛けた。

「リヴァイ、エミの事を好きなんじゃないのか?
公私混同は絶対にしないでくれ」

その言葉に返事をせずにリヴァイは部屋を後にした。

「チッ...」

何もかもお見通しだった事に苛立つ。

エミを傍に置きたい。

エミを独占したい。

ただそれだけの理由でエミを自分の補佐にしようとした。

だが父親の事も関係はしている。

父親をあの様な形で死なせてしまって、天涯孤独にしてしまった自分を恨んでいた。

そんな矢先、エミが調査兵団に入ってきた。

入団式の時に見た彼女は父親そっくりだった。

リヴァイの班は精鋭が揃う班である為、エミを班に入れる事は無かった。

だが、新兵時代からエミは精鋭だ。

エルヴィンなりに何か考えがあるのだろうと思っていたが...

公私混同する様なリヴァイではない。

それはエルヴィンも分かっているはずだ。

では何故...

そんな事を考えているといつの間にかエミの部屋の前まで来ていた。

片付けは終わったのだろうか...

そう思い、リヴァイはドアをノックした。
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