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第3章 何故


リヴァイはエルヴィンの執務室をノックをせずに足で蹴り開いた。

「どういう事だ」

リヴァイの言葉に動揺せずにエルヴィンはゆっくりと椅子に座ったまま体をリヴァイのほうへ向ける。

「その様子だとエミの事だね」

「それ以外に何がある」

エルヴィンは無表情で顔色も変えずにリヴァイを見つめた。

「リヴァイが提案したことじゃないか」

怒りに満ちた顔でリヴァイはエルヴィンに詰め寄る。

「俺が提案したのは確かだ。
だが、エミが拒否したら提案は無しにしろと言ったはずだ!」

「確かに言ったね。
だが、エミをこのままにする訳にはいかない。
彼女をこのままにしておくと確実に父親と同じ事をする」

顔色1つ変えずにエルヴィンは答えた。

「何故そう思う」

エルヴィンに詰め寄ったままリヴァイは荒々しく言った。

「そんな立ったままだとまともに話が出来ないだろう。
とりあえず座りなさい」

そう言われてリヴァイはエルヴィンと向かい合わせにある椅子にドカッと座る。

相変わらずエルヴィンが冷静な顔でいる事にイライラが募る。

「リヴァイ、エミは首席で訓練兵を卒業した。
だが、憲兵団には入らずに調査兵団に入った。
これがどういう意味か分かるか?」

感情を表に出さずに話してくる相手に対してリヴァイは更にイライラした。

「昨日、キースから聞いたんだが、エミは訓練兵時代に言った言葉がある」

そう言った所でエルヴィンは大きく息を吸い、話を続けた。

「エミは憲兵を憎んでいる。
父は処刑されるべきでは無かったと。
つまりだ、彼女は憲兵だけでない。
兵士そのものを憎んでいる可能性がある」

その言葉にリヴァイは表情には出さなかったが驚いた。

そしてエルヴィンは言った。

「エミのあの強さの動力源は父親だ。
死んだ父親の為に復讐をしようと、調査兵団に入った訳だ」

「復讐の為なら調査兵団じゃなく憲兵団に入れば良かっただろ」

「それは...
あくまでもこれは俺の推測だが、エミは無意識に父親の後を追っているのではないかな。
そしてそれが叶った時...」

「あいつは死を選ぶ...か」

「理解が早くて助かるよ」

そう言ってエルヴィンは笑顔を見せた。
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