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第16章 幸せ


翌日、エミは知り合いに子供を預けて兵舎に行く準備を済ませた。

ちょうど準備が終わった頃にリヴァイが馬を連れて迎えに来てくれた。

「大丈夫か?」

まだ不安が残るリヴァイに対して彼女は微笑む。

馬に乗ると久しぶりの感覚にエミは嬉しかった。

「少し急ぐぞ」

「はい」

そう言ってリヴァイが馬を走らせるとその横に併走してエミも馬を走らせる。

兵舎に着くとちょうど昼休憩だったのか兵士達がいきなり馬に乗って現れたエミを見て驚いた。

「エミさん!
どうかされたんですか!?」

「ちょっと団長に用事があってね」

微笑みながら馬を下りてリヴァイの後ろを歩きながら答えた。

そして兵舎の中に入ると久しぶりの環境に懐かしさが蘇り、そのまま応接間へと行く。

リヴァイはドアをノックして開けると既にエルヴィンが待っていた。

「エミ、久しぶりだね」

そう言って微笑む団長に敬礼をする。

「お久しぶりです」

「今は兵士では無いのだから敬礼はいらないよ」

エルヴィンの言葉に思わず「あっ…」と言って腕を下した。

そして促される様にソファーに座る。

「君がここに来たという事は服役の事だね」

「はい。
子供も1歳になり、面倒を見て下さる方も居ますので服役を希望します」

「私は構わないが…ここは調査兵団だ。
死と隣り合わせなのは知っているだろう?」

「勿論です。
だからこそ、この兵団への服役を希望しています」

それを聞いてエルヴィンは何かを考えている様だった。

「何故、調査兵団なのかな?」

「私の実力を考えるとここしか思い当りません。
駐屯兵団では私は力を発揮する事は出来ません。
それに何より…兵長の傍でないと意味がありません」

その言葉にエルヴィンは思わず驚いた。

そして直ぐに表情を戻すと静かに質問をしてきた。

「君の意志は良く分かった。
リヴァイ、君から意見は無いか?」

「また俺の補佐にするなら問題ない」

するとエルヴィンは1枚の紙をエミの前に出した。

「サインしなさい」

その紙は『服役承諾書』だった。

エミは直ぐにサインをするとエルヴィンはにっこりと微笑んだ。

「おかえり、エミ」

その微笑みを見て彼女は立ち上がり微笑みながら敬礼をした。
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