第16章 幸せ
それからはいつも通りの生活が再び訪れた。
リヴァイは最初に言った通りに壁外調査の時以外は必ず家に帰ってきた。
それが半年程経った日の夜、ベッドに2人で横になっているとエミのお腹が突然悲鳴を上げた。
「つっ…」
「エミ、どうした!?」
「お腹が…」
それを聞いてリヴァイは「そのまま横になってろ」とだけ言って家を出た。
暫くすると調査兵団の医師と共に一緒に帰ってきた。
色々体を調べると「陣痛ですね」と言い、リヴァイにお湯等出産に必要な物を言って用意させる。
「兵長、すみませんが部屋の外で待ってて頂けませんか?」
「分かった」
そう言ってリヴァイが部屋の外に出ると医師はエミに向かって言った。
「エミさん、大丈夫ですよ。
頭がもう半分程出てきているのでもう少しの我慢です」
陣痛の痛さに耐えながら頷くと部屋の外が騒がしくなった。
その声は紛れも無くハンジの声だった。
だがそれに対して反応する余裕が無く、ただ早くこの痛みから解放されたい一心だった。
そして3時間後。
無事に子供が生まれた。
赤ん坊の第一声が聞こえるとリヴァイがドアを開けて入って来る。
「元気な男の子ですよ」
医師は笑顔で言うと既に処置を全て終えてエミに抱かれている赤ん坊を見て、リヴァイは笑顔になった。
「よく頑張ったな」
「リヴァイ…」
エミは嬉しくて涙が出た。
するとハンジが遠慮なく部屋に入ってきて子供を見ると叫んだ。
「リヴァイとエミの子かぁ~!
可愛いね!」
「黙れ、クソメガネ。
それに勝手に入って来るな」
「見たいんだからしょうがないでしょ!
それにしても、リヴァイに凄く似てるね。
目つきとか…」
「どういう事だ」
それだけ言うとギャーギャーと騒ぐハンジを無視してリヴァイはエミの耳元で囁いた。
「産んでくれて有難う」
それを聞いてエミは赤ん坊をリヴァイに抱かせる。
そしてリヴァイと赤ん坊に向かってエミは言った。
「無事に生まれてきてくれて有難う」
その様子に気付いたハンジは騒ぐのをやめて3人の様子を見て微笑んだ。
「明日から大変だな」
「そうですね。
でもこの子が居る限り、私は頑張れますよ」
そう言いながらエミは微笑んだ。