第16章 幸せ
「まぁ…一応結婚式は出来たんだからいいんじゃない?」
ハンジが陽気に話すとエルヴィンは笑いながら言った。
「まさかとは思ったが、思いっきり投げるとは思わなかったよ」
「そりゃあエミだし、思いっきりやるでしょ」
「だが…あんな軽い物をあんな大広間で入口まで投げれる奴なんか居るか?」
結婚式が終わった後、エルヴィンの執務室に集められた幹部達はどんどん話していく。
「でも、ほんとドレス姿のエミは綺麗だったな~」
「それは私も思ったよ。
リヴァイにはもったい無さすぎだ」
「俺も同意見だ」
「てめぇら…」
皆のリヴァイ弄りを見て思わずエミは笑ってしまった。
「それで前から思っていたんだが、君は兵団に残るのかい?」
いきなり真剣な話をされて戸惑った。
「私はまだ居たいと思っていますが…」
「なら残れ」
リヴァイは言葉遣いは荒いが優しく答えた。
「お前は狙われ易いからな。
俺が見張る」
「どういう事ですか?」
「リヴァイ…まだその話を出すのか?」
エルヴィンが呆れた様に言うと興味を示したハンジがグイッと体を前に突き出してリヴァイに近付いた。
「どういう事!?」
「エルヴィンはこいつの事が好きだったらしい」
さらっと答えるリヴァイとは裏腹にエルヴィンは困った顔をし、ハンジに至っては何か焦っていた。
「え…エルヴィンもなの!?」
ハンジは額に掌を当てて上を向いた。
「どうかされたんですか?」
エミはハンジの様子を見て聞くとハンジはチラッとミケを見る。
「…ミケもだよ」
「「はぁ!?」」
エルヴィンとリヴァイが同時に驚いて大声を出した後、ミケの方を見た。
「ミケ、本当なのか?」
エルヴィンが聞くとミケは頷いた。
「エミは幹部にモテモテだったんだね~」
「まぁここに女は1人しか居ねぇからな」
「だから私だって女だよ!」
「どこがだ」
また始まったいつもの言い争いを見てエミは思わず笑う。
それを見たエルヴィンは淡々と質問をしてきた。
「リヴァイとハンジは昔からあんな感じなんだが…
君自身あれに対して何か感じるかい?」
「そうですね~…
楽しそうだから良いと思いますよ」
笑顔で答えると「なら問題無いね」とエルヴィンは言い、2人のやり取りを見守った。