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第16章 幸せ


それからはいつも通りの日々が続いた。

壁外調査の為に演習をこなし、書類に追われる毎日。

そして24時間リヴァイが隣に居た。

壁外でもそんな状態だった。

「リヴァイ…たまには1人で息抜きでもしたらどうですか?」

「1人なら駄目だ」

「何故です?」

「見張りだ」

相変わらず素っ気なく言う為、エミはため息をついた。

「せめて書類に集中する時はお互いの執務室でしませんか?」

エミがそう言うのも無理は無かった。

お互い執務室があるのにも関わらず、リヴァイはエミの執務室で仕事をしている。

結婚式を行った後、やっと夫婦だという自覚が出来た為、夜の情事も大変な状態だった。

(男は何でこう欲に負けるのか…)

と思いつつも受け入れる自分が居る事にも呆れる。

「お前、最近顔色悪くないか?」

「え…」

言われてみれば最近気分が悪くなる事が多い。

「うーん…でも仕事に影響する程じゃないですし大丈夫ですよ」

笑顔でそう答えるとリヴァイは眉間に皺を寄せてまた質問してくる。

「最後にあったのはいつだ」

「何がです?」

意味が分からないでいるエミの様子に飽きれて率直に言った。

「生理だ」

「いきなり何を聞いてくるんですか!」

「お前…まさか…」

そう言うとリヴァイは立ち上がりエミを引っ張って部屋から出た。

「ちょ!
何処に行くんですか!?」

「医務室だ」

それだけ言ってリヴァイは反抗する彼女を無理やり医務室に連れて行った。

エミは常勤の医師に色々聞かれながら体も調べられる。

「間違いないですね」

「やっぱりな」

「だから何がですか?」

まだ分からないでいるエミを見てリヴァイは彼女の頭をクシャクシャと撫でる。

「自分の体なのに分かんねぇのか。
妊娠してんだよ」

「はい!?」

リヴァイの言葉に目を見開いて思わず大声を出す。

「何かの間違いじゃ…」

エミは戸惑いながら医師に縋り付く。

「エミさん。
最近兵服がきついと思いませんか?」

それを聞いて「あっ」と声を出した。

あまり気にしていなかったが、確かに最近兵服が少しきついと思う事はあった。

「太ったと思っていたのか」

「…はい」

素直に答えるとリヴァイは額に手を当てて項垂れた。
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