第16章 幸せ
エミは執務室に着くと部屋の中が少し騒がしい事に気付いた。
とりあえずノックをすると返事があったので入るとハンジ以外に女兵士が2人居た。
「お、やっと来たね!
さぁ始めるとしますか!」
ハンジは上機嫌でエミを部屋の奥まで連れて行くと目の前の光景に驚いた。
「どう?
気に入ってくれたかな?」
そこにあったのは真っ白のウェディングドレスだった。
「これは…」
「今日はこれを着てもらうよ」
にこやかに話すハンジに対してエミはまだ状況が掴めていなかった。
「早く服脱いで」
そう言われても尚動かないでいるエミを見てハンジは後ろで待機していた女兵士を呼んで服をどんどん脱がせていく。
「ちょ!
ハンジさん、何するんですか!?」
「だーかーらー、着替えるの!」
3人がかりで服を脱がされると次は目の前にあったドレスを着させられる。
「うん、すっごく似合ってる!」
女兵士と一緒にハンジは満足している様子だった。
「さて、意外と時間通りいったね。
行くよ!」
そう言いながらハンジはエミの背中を押して部屋を出ると、そのまま大広間に連れて行かれた。
大広間のドアの前にはミケが立っていた。
「もう準備は出来てる?」
「完璧だ」
「おっし!
じゃあ本番と参りますか!」
ハンジは意気揚々とドアを開けるとそこはいつもの大広間では無かった。
壁には色々な装飾が成され、床には赤の絨毯がひかれており、大量の椅子と共に兵士達が全員こちらを見ていた。
そして絨毯の先には少し大きめの台が置かれてエルヴィンが立っており、その台の手前には…
「リ…ヴァイ…?」
エミは白の燕尾服を着たリヴァイの姿を見て全てが分かった。
「状況は分かったかな?」
ハンジが微笑みながら聞いて来ると涙が溢れてきた。
これはエミがずっと待ち焦がれていた結婚式だった。
棒立ちで居る彼女に見兼ねてハンジはブーケをエミに渡す。
「ほら、早く行かないとあそこで待っている人の機嫌が悪くなるよ」
そう言われて背中を押されたので1歩ずつ前に歩いて行った。
歩いている間、兵士達と同じ様に最奥に居るエルヴィンとリヴァイも微笑んでいた。
リヴァイの元に着く頃にはエミの涙は止める事が出来なくなっていた。