第16章 幸せ
翌朝、あれから直ぐに寝れた為か目覚めがかなり良かった。
隣では愛する人が寝息を立てながらまだ眠っていた。
リヴァイの寝顔を見るのはこれで2回目だ。
元々顔立ちが良い為か、寝顔が可愛く見えるのでエミは思わず微笑む。
「起きたのか」
目を瞑ったまま口を開いたのに驚いて思わずベッドから落ちてしまった。
「朝から何してやがる」
「それはこっちのセリフですよ。
起きてるなら目を開けて話して下さい」
「俺はだいぶ前から起きていたんだがな」
その言葉に呆気に取られた。
つまりエミが起きるよりも先に起きていた事になる。
ベッドから落ちた衝撃で床に打ち付けてしまった背中を摩りながら立ち上がると、リヴァイはまだ横になったままエミを見ていた。
「今日は街へ買い出しへ行くんですよね?」
「ああ」
短くリヴァイは返事をすると顔を洗う為に洗面所に行った。
それを見てエミも慌てて洗面所に行きリヴァイの後ろで歯磨きをして顔を洗う。
さっぱりとした2人は朝食を取る為に食堂へと向かった。
食堂に着いて部屋全体を見渡すと違和感を感じた。
「…誰もいませんね」
「まだ朝早いからな」
「でも、1人や2人居てもおかしく無い筈なんですが…」
そう言いながら時計を見ると7時を指していた。
リヴァイは気にする事も無くキッチンからパンとスープを2人分持ってくると椅子に座り食べ始めた。
エミも食べ始めるといきなり入口からハンジの声がしたので驚いてパンを落としそうになった。
「お、2人共早いね~」
「お前もだろ」
「私は色々やる事があるから早く起きただけだよ。
エミ、食べ終わったら私の部屋に来てくれないかな?」
「構いませんが…
何かあったんですか?」
きょとんとして聞くとハンジは手をヒラヒラさせながら答えた。
「話は後でするから。
絶対来てね!」
それだけ言ってハンジは戻って行った。
「今のは何だったんでしょうか?」
「さぁな。
あいつの考える事は大体分かるだろ」
「まさか…」
「そのまさかかもな」
そう答えながら一足早く朝食を食べ終わったリヴァイは「エルヴィンの所に行ってくる」とだけ言って食堂を出た。
1人残されたエミは食べ終わると言われた通りハンジの執務室へと向かった。