• テキストサイズ


第15章 変化


その日の夜、エルヴィンの執務室に幹部が集まった。

「今日の壁外の事だが、ハンジとミケにも言っておこうと思ってね」

微笑みながら話を続ける。

「エミは全て記憶出来たよ」

「本当!?」

ハンジは驚いた様子で目を見開いてエミの方を見た。

「はい。
今まで何体も巨人を倒してきましたが、初めて巨人の顔を知りました」

苦笑いしながら答えるとハンジは凄く嬉しそうだった。

「ただ1つ気になる事がある」

エルヴィンは静かに話し始めた。

「エミ、君は最初に現れた巨人を見た時に脳内に電流が走る様な感覚があったと言ったね。
それは中央に居る時に王から母の事を聞かされた時と同じ物だと」

「はい」

それを聞いたハンジは先程までの態度とは全く違う様子で少し考え込み、口を開いた。

「その巨人なんだけど…
誰かに似てたりしなかった?」

「誰か…ですか…?」

エミは考え込んだ。

最初に交戦した巨人は髪が長く、性別で言うならば女の様な気がした。

気がした…?

その時、またあの記憶が蘇る。

「おかあ…さん…」

そう発したエミの言葉にその場に居た4人は驚いた。

「どういう事だ」

リヴァイは眉間に皺を寄せて聞くとエミは答えた。

「写真も無いのでハッキリとした顔は分かりませんが…
王から母の話を聞いた時に、今日の様に脳内に電流が走る様な感覚がして母の顔を思い出したんです。
その思い出した母の顔と似ていた…かもしれません。
断言は出来ませんが…」

そう言うとその場に居た4人は皆揃って考え込んだ。

エミも考えたが、答えは出ない。

「とりあえず、この世は分からない事だらけだね。
巨人は一体何なのか。
どんなに殺しても状況は全く変わらない。
どこから巨人が現れているのかも分からない…」

ハンジの言葉に納得した。

壁外調査で何体倒したか覚えていないが、減っている様子は無い。

今まで記憶が飛んでいるのであまり分からないが奇行種が増えているのは事実だ。

「それでもとりあえず今日は収穫が出来て良かったよ。
報告書も既に書き終えているから、今日は皆で飲もう」

そう言ってエルヴィンは見た事が無い酒瓶を持ってきた。

「お前…それ誰から貰った」

「ピクシス指令だよ」

その言葉にリヴァイはゾッとした。
/ 163ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp