第15章 変化
1体目を倒すとまた直ぐに現れた奇行種がジャンプしてエミに襲いかかってきたが、アンカーを首元に刺して回避するとそのままの勢いで項を削いで地面に着地した。
着地した後も足音が聞こえないか警戒して耳を澄ませたが何も聞こえなかった為、再び大きく深呼吸した。
その様子を見たエルヴィンとリヴァイはエミの元に駆け寄ると馬を渡す。
「きちんと記憶はあるか?」
「あります」
「ならば急いで帰るとしよう。
ここからだと壁まではそう遠くない。
下手に出くわしてまた交戦するのは良く無いからね」
そう言われてエミは馬に跨ると全速力で壁へと向かった。
その道中で巨人に遭遇しなかったのが幸いだった。
壁まで到着すると3人は壁を登った。
「意外と早かったな」
壁の上ではピクシス指令が出迎えていた。
「遠距離にならなかったのが幸いです。
もう少し早くに戻る予定でしたが、奇行種が2体現れたので少し時間がかかりました」
「そうか。
彼女も無事みたいじゃの」
ピクシス指令がエミを見てきたので出発の時と同様に敬礼をする。
「エミと言ったか。
噂では聞いていたが、こんな美人が巨人を簡単に殺す事が出来るとは誰も想像出来ないだろうな」
その言葉に苦笑いするとエルヴィンが話した。
「今回はご協力有難うございました。
また馬の事をお願いします」
「分かっておる。
エミ、また会う時は一緒に酒でも飲もう」
「有難うございます」
エミは微笑んで返事をすると3人は壁内に戻った。
兵舎への帰り道、エルヴィンが尋ねてきた。
「今までの巨人との交戦と今回の交戦で何か違った事はあったかい?」
「今までは交戦の状況は愚か、巨人の顔さえも覚えていない状況でしたが、今回は全て覚えています。
それと…」
「それと?」
「何と言ったら良いのか分かりませんが…
最初に巨人を見た瞬間に脳内に電流が走る様な感覚がありました」
「電流?」
「はい。
この感覚は中央で母の事を王から聞いた時にも味わいました」
「とりあえず今日は休んでもいいか?
こいつの行動を見るだけでも疲れる」
リヴァイは無表情で聞いた。
「それは別に構わない。
書類に関しては私が書こう」
そう言いながらエルヴィンは何か考えている様だった。