第15章 変化
先程現れた巨人の足音とは明らかに違う足音が前方から聞こえる。
「奇行種ですね。
危険ですので後ろへ下がってください。
後、馬もお願いします」
そう言って再び馬から下りた。
リヴァイはエミの馬の手綱を持ち言われた通りに後ろへ下がる。
前の壁外調査でも思ったが何故馬から下りる…
万が一何かあれば馬にさえ乗れば回避出来るかもしれない状況を完全に捨てている。
エミは馬から下りてその場から動かずに奇行種の姿が現れるのをただ待っていた。
そして深呼吸をする。
ここは平地。
もし失敗すれば間違いなく死ぬ。
その瞬間、奇行種がいきなりエミの居る場所に飛んできた。
エミはアンカーを奇行種の腕に刺し近づくが刺した腕を振り回され少しバランスを崩した。
しかし直ぐにバランスを整えるとブレードを使って奇行種の目を狙い視界を奪うと、新しいブレードを装着して項に回り込み削ぐ。
倒れた奇行種から離れるとまたもう1体今度は通常の巨人が現れた。
「次から次へと…」
そう呟いてガスを吹かして一気に巨人に近付き一瞬で倒した。
状況が落ち着いた所でエルヴィンとリヴァイがエミの元に馬を連れてやってきた。
「記憶はあるか?」
リヴァイが聞くとエミは短く「はい」と答えて馬に乗った。
「それなら良かった。
予想以上に早く終わったが、まだ倒したいかい?」
「団長…誰もそんな事望みませんよ」
「ハンジなら望むかもな」
その言葉に思わず笑ってしまった。
「さて、今回の目標は達成したから帰ろう」
そう言って馬を走らせようとした時、背後から複数の足音が聞こえた。
「これは…奇行種が複数ですね」
姿は見えないが足音はどんどん近付いて来る。
「団長、兵長と一緒に先に行って下さい」
「それは無理だ。
今回の目的を忘れていないだろう?」
「…分かりました。
では、絶対に近付かないで下さい」
再び馬から下りるとブレードを握る。
「1体は15メートル」
最初に姿を現した奇行種の大きさを目視で捉えると右手に構えていたブレードを逆手に持つ。
その姿をエルヴィンとリヴァイは見逃さなかった。
エミを捕まえようとした腕を交わしてガスを吹かし、腕を縦に削ぐように回転しながら項に向かって一気に削いだ。