第15章 変化
壁の上に登り壁の外を見下ろすと馬が3匹兵士によって大人しくされていた。
それを見て3人は壁を下りる。
「わざわざ有難う。
後は私達がするからもう戻って構わないよ」
エルヴィンがそう言うと兵士達が敬礼をしながら「ご武運を」と言い壁内に戻って行った。
「さて、早く終わる事を願って出発しよう」
馬に乗りながらエルヴィンが言うとエミとリヴァイも馬に乗る。
走るコースに関しては既にエルヴィンによって決められており、先頭はエミが走る事になっていた。
「それでは行きます」
そう言ってエミは馬を走らせるとそれに続いてエルヴィンとリヴァイも後ろをついて来た。
10分程馬を走らせた所で右から大きな足音が聞こえてきた。
「来たな」
リヴァイが言うと遠くから巨人が1体こちらに向かって走って来る。
「後ろに下がる。
無茶だけはするな」
「分かりました」
エミは深く深呼吸をしてこちらに向かって来る巨人を目にした。
その時、脳内に電流が走る様な感覚に陥った。
その感覚は1度中央に居た時に味わった物に良く似ていた。
エミは馬から下りてブレードを構えると巨人の方へと歩み寄る。
「エミ!」
リヴァイは思わず叫び彼女の元へ行こうとするとエルヴィンが静止した。
「大丈夫です。
今の所記憶はあります」
そう言いながら巨人に向かって歩みを進める彼女を見てリヴァイはブレードを構える。
「敵は1体」
そう呟きながら向かって来る巨人の顔を見る。
すると巨人はエミに向かって手を伸ばしてきたが動きが遅い為アンカーを巨人の首元に刺し、巻き取りながら首元まで行くと項を削いだ。
巨人が倒れて蒸発するのを確認するとエミは馬に再び跨った。
「記憶はあるみたいだね」
エルヴィンが無表情で言うと苦笑いしながら頷いた。
「次は奇行種か…」
リヴァイはブレードを戻しながら呟く。
「きっと直ぐに現れます」
「何故分かる」
そう聞かれて少し考えながら答えた。
「ここは結構壁から離れてます。
それなのに現れた巨人は通常のが1体。
普通ならもっと現れてもおかしくは無いですよね」
「確かにそうだが…
もしかしたらたまたま運が良かっただけかもしれない」
エルヴィンがそう言った瞬間その時は来た。