第14章 感覚
「お前の言いたい事は大体分かる」
そう言いながら紅茶を持ってきてエミが座っているソファーの前に置いた。
「どうせ結婚式の事だろ」
完全にバレていた。
リヴァイは相変わらず淡々と話した。
「式に関しては壁外から帰って来てからにする。
今回の壁外の報告書はお前の事に関するだけの事だから、1日で終わる。
とりあえず明日の壁外に備えて今日はゆっくり休め」
そう言ってエミの頭をポンポンと叩く。
リヴァイは感情を表に出す事はよっぽどでない限り無いが、悩んでいる時や不安になっている時は必ず頭を軽く叩くか撫でるかをしてくれる。
ハンジに対しては完全に暴力にしか見えないが…
紅茶を全て飲み終えるとエミは風呂に入ると言って浴室へと向かった。
湯船にお湯が溜まるのを待つ間体を洗っているとちょうど溜まったので入浴剤を入れた。
そしてゆっくりと浸かるといきなりドアが開かれた。
「リヴァイ!」
いきなりリヴァイが浴室に入ってきたので慌てて目を逸らした。
「どうした」
「どうしたもこうしたもありません!
今裸なんですよ!?」
「別に見ても良いだろ」
「そういう問題じゃないです!」
顔を真っ赤に染めて一生懸命言ったが、逆効果だった。
リヴァイは体を洗い終えるとそのままエミが入っている湯船に浸かる。
すると急にエミの体を反対に向かせて後ろから抱き締めてきた。
「夫婦って事忘れて無いか?」
「忘れてませんよ…
でも恥ずかしいんです…」
「何故恥ずかしがる」
「だって…
男の人の裸を見た事無いので…少し抵抗が…」
そう答えるとリヴァイは更に強く抱き締めてきた。
「お前、男の裸を見た事無いって事は父親の裸も見た事無いのか?」
「…私の記憶が正しければありません」
「ほう…」
リヴァイが返してきた言葉で嫌な予感がした。
絶対に何か企んでいる…
「そろそろ出るか」
そう言ってリヴァイはエミを抱き締めたまま立ち上がった。
「ちょっと待って!
裸!裸!」
慌てているエミの姿がリヴァイにとっては面白かった。
「見ていないから大丈夫だ」
「リヴァイは見ていなくても私は恥ずかしいんです!」
エミは抵抗したがそのまま強引に浴室から出される形となった。