• テキストサイズ


第14章 感覚


2人は早めに朝食を食べる為にまだ誰も居ない食堂へと向かった。

「今日の監督は誰ですか?」

「俺だ」

エミはゾッとした。

調査兵団に入った兵士はリヴァイが監督する日は憂鬱になる。

早めの朝食を終えると兵舎を出て演習場へと向かう。

「お前の場合、中央に居た事で体力が落ちているだろう。
まずは走り込みだ」

リヴァイが監督となるとただ走るだけでも大変な目に遭う。

「ちなみに何週走れば良いですか?」

「50周だな」

エミは思わず無言になった。

リヴァイは演習に関してはかなり厳しい。

並の兵士でも悲鳴を上げる程の量を言ってくる。

「…多くないですか?」

「このぐらいお前なら余裕だろ」

「兵長と違うんですから…」

「やれ」

腕を組んで眉間に皺を寄せながら言うリヴァイは怖い。

兵士である以上、上官の言う事は従わなければならない。

渋々エミは走り始めた。

元々体力に自信はあったので軽々と50周走り終えたがやはりきつかった。

「このぐらいで息が上がると今度の壁外は危険だぞ」

「…分かってます」

ハアハアと呼吸しながら答えると次は立体機動の演習に移った。

久しぶりの感触にエミは嬉しかった。

立体機動は構造が複雑な上に重いが、この重さが好きだった。

「最初はアンカーを使ってやってみろ」

そう言われて目の前にある木にアンカーを刺しワイヤーを巻き取りながら軽々と空中へ飛ぶ。

そのままアンカーを次々と別の木に刺しながら飛んでいると風が心地良かった。

後ろからはリヴァイも立体機動で追いかけてくる。

ある程度進んだ所で木の上で止まった。

「感覚は覚えているみたいだな」

「そうですね。
考えるというより、体が自然と覚えているみたいです」

エミはそう答えると次は巨人の模型をブレードを使って切り刻んでいく。

その姿は全く無駄の無い動きでガスも最低限にしか使わない状態だったのでリヴァイも納得した様だった。

「少し休憩だ」

演習が始まって3時間。

大部分はやはり走り込みだったが立体機動を使う演習では殆ど時間を使わなかった。

2人は木の下に座るとリヴァイが話しかけてきた。

「立体機動は完璧だな」

「そうですね。
でもこれぐらい出来ないと次の壁外は特に危険ですから」
/ 163ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp